3 優しくするって言ったじゃないですか。
第11話
「なァ、お前まさかあれで終わりとか思ってねーよな?」
学校の昼休み。
私は不機嫌な紅先輩に屋上まで呼び出されて怒られているというか愚痴られているというか。
煙草片手に相変わらず気だるそうな先輩。
言っておくけど私とこの人はまだ会って二日目だ。
「裸晒しただけで十分じゃないですか。」
「は? 裸は俺も晒してただろーがよ。自分ばっか気持ち良くなって終わりとかふざけんなよ。」
「でも痛かったですよ」
先輩が不機嫌な原因は私にある……らしい。
昨日の夜のアレは私としては初めてなわけで、中学時代をすべて家から出たい一心で勉強に捧げた私はそっち方面の知識はもちろん皆無。
……あんなに痛いとは思わなかったんだもん。あれでも、頑張って我慢したのに。
「痛かっただァ? まだ指しか挿れてなかったろ。おまけにさっさといなくなりやがって」
「学校あるんですからそんないつまでもいないですよ。登校準備何もしてないのに。」
この場に私たちしかいないとはいえ、そんな具体的な話するのやめてほしい。
思い出すと、今になって恥ずかしくなってくる。
「マジで初雪の奴とヤッたことねーの?」
「無いですよ! 初雪さんは貴方みたいに節操無い方じゃないので!」
「逆にどこまでしたことあんの?」
どこまで? どこまで……初雪さんと会った時の記憶を辿る。小さい頃は手を繋ぐことも多々あったけど、それは男女の、というより子供のそれにすぎない。
「……何も、ですかね。」
私がそう答えると、先輩は馬鹿にしたように鼻で笑った。
「どーりでお子様なわけ。初雪も根性ねーな。」
「あの人を悪く言わないでください。単純に、私が初雪さんの好みじゃないだけですから。」
言ってて、悲しくなってくる。言わなきゃ良かったな、自分で認めるみたいなこと。
そんな私を見据えた先輩が、指をくいっと曲げて私を招く。
なんだろう、と近づくと、腰を引き寄せられた。
「ん、」
先輩の舌が甘い煙草の匂いと共に入ってくる。
昨日と同じ、私の知らない深いキス。
「ふっ………あ、」
息が上手く吸えない。全身から力が抜けて、立っていられなくなる。そんな私を片手で支えながら、紅先輩はさらに追い打ちをかけてきた。
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