第28話 内部告発者の正体と次の一手

夜の闇が深まる中、警察署内では一部の捜査員だけが残り、静かに緊張感が漂っていた。刈谷は自分のオフィスで一人、手元の資料を見つめていたが、何か重大なことに気づいたかのように、その表情が一変した。彼はすぐに毛利を呼び、事態の進展を伝えるべく話を始めた。


「毛利、聞いてくれ。今までの情報を整理してみたが、内部告発者の可能性が高い人物が見えてきた。」刈谷は慎重に言葉を選びながら話し始めた。


「その人物とは?」毛利は真剣な表情で、刈谷の次の言葉を待った。


「情報を調べていくうちに、ある捜査員の行動が不自然に見えるんだ。」刈谷は一瞬ためらったが、続けた。「彼はこの事件に関する重要な情報を知っているはずなのに、それを外部に漏らしている疑いがある。」


毛利はその言葉に驚きつつも、すぐに冷静さを取り戻した。「では、その人物を監視する必要がありますね。我々の捜査が彼に筒抜けでないかを確認するためにも。」


「そうだ。だが、注意深く行動しなければならない。彼が気づけば、捜査は一気に不利になるだろう。」刈谷は深く息をつき、決意を新たにした。「奈緒美にもすぐに伝えよう。彼女の科学的分析が、犯人を追い詰める鍵になるかもしれない。」


その頃、奈緒美はラボに戻り、先ほどの紙切れに残されたメッセージの解読を試みていた。メッセージは断片的で、犯人が何を伝えようとしているのかはっきりしない。しかし、その文字には何か意図的なものを感じ取ることができた。


「このメモには何か隠されている。」奈緒美は独り言のように呟きながら、顕微鏡を使って紙切れの微細な部分を観察した。「インクの種類や紙質から、メモがどこで作られたかを特定できるかもしれない。」


そこに河合が入ってきた。彼女もまた、犯人が残した痕跡を追いかけるために、全力を尽くしていた。「奈緒美さん、何か進展はありましたか?」


「まだ断片的な情報ですが、インクの成分に特徴がありました。このタイプのインクは特定のメーカーでしか製造されていない。」奈緒美はメモの分析結果を河合に見せた。「これを手がかりに、犯人がどこでメモを作成したかを絞り込むことができるかもしれません。」


「なるほど。それを使えば、犯人の居場所を特定できるかもしれない。」河合もすぐに分析結果を確認し、奈緒美と共にさらに深く調査を進めることにした。


一方、刈谷と毛利は、内部告発者の動きを追跡するために、署内の監視カメラの映像を確認し始めた。彼らは不審な動きを見せていた捜査員の行動を細かく調べ、犯人に情報が漏れていた可能性のある場面を特定しようとしていた。


「ここだ。」毛利がモニターを指差した。「このタイミングで、彼が不自然に何度も外部と連絡を取っている。」


「確かに怪しいな。」刈谷はその映像を見つめ、さらに考えを巡らせた。「彼が情報を漏らしていたことが確認できれば、犯人に繋がる重要な手がかりになる。」


監視を続ける中、二人はその捜査員が外部の人物と接触している瞬間を捉えた。彼らはすぐにその人物を特定し、次の行動を起こす準備を整えた。


「この捜査員を監視し続け、次の動きを見極める必要がある。」刈谷は決意を込めて言った。「これが犯人に繋がる最後の手がかりになるかもしれない。」


その夜、奈緒美たちが分析を進め、刈谷と毛利が内部告発者を追跡する中、物語は次第にクライマックスに向かって進んでいった。犯人がどこで次の手を打とうとしているのか、そして内部告発者の正体が明らかになった時、捜査は決定的な局面を迎えることになる。

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