第6話 愛の巣再建計画!?
いいのか、本当にこんなんでいいのか。
引っ越し屋さんがきた後も、何度も自問自答する。
じいちゃんの形見ばかりだった部屋は、俺と
これ連休中に片付け終わるのかなぁ……。
というわけで、いよいよ俺と
「……」
お母さんが帰ってから二時間くらい経つが、
「
「あっ、じゃあ私、お茶淹れてくる! 台所使ってもいい?」
「良いけどお茶なんてあったかなぁ?」
「こんなこともあろうかと持ってきてます!」
「はい!?」
その中から、なんとお茶っ葉の袋が出てきた!
「急須は……」
「あっ、多分、食器棚の中にあったと思う。一緒に探すよ」
「
これでは休憩をしようと言った意味がない。
「
「うっ」
そもそも、さっきから
「
「はい!」
「もしかして緊張してるの?」
ピタッと
「ば、バレました……?」
「謎に敬語だし。だから何度も大丈夫かって聞いたのに」
「ち、違うの! これは嫌だからとかじゃなくて……」
「じゃなくて?」
「今、私にとってはこの時間は夢の時間だから――」
「……」
「私、ずっとこうなったらいいなぁって思ってたの。まさに怪我の光明というか……あっ、怪我したのは
俺に対する好意を全く隠そうとしていない。
嬉しいといえば嬉しいのだが、
これは最初にしっかり言っておいたほうが良さそうだ。
「
「うん」
俺も茶碗の準備くらいはしよう。
「最初に言っておくけど、俺、今は
「な、なんでぇ!?」
「
「うぅうううう」
「……それに俺、借金があるから」
「……」
そう、俺はこれから隣にあるアパートの再建をしなければならないのだ。
借金返済のために、六部屋中残り五部屋をなんとかして埋めなければならない。
「だから
「う、うん」
「俺のことが嫌いなったらいつでも言って。この生活は
……
これに気がついてしまったら、
もしかしたら、この生活は昔と今のギャップを埋めるための時間なのかもしれないなぁ……。
「そもそも、なんでそんなに俺のことを思ってくれてるんだか」
「初恋だからじゃダメ?」
「分かった。私が大人になるまでに、
「そういうことじゃない! それに俺、
「私がしたいって言っているから良いの!
「ゆ、
思わず笑ってしまった。
可愛い顔して、強引、強情、意地っ張り。
俺は
「私、一つ言っておくからね!」
「うん」
「私、その
「ありがと」
「な、流された!?」
「だって微妙に嘘くさいし」
「だから、私、
えっへんと
ガスコンロの上にあるヤカンがぴゅーと鳴り始めた。
「ところで、なんでいきなり俺のこと名前で呼ぶようになったの?」
「お兄ちゃんだとおかしいかなって思って」
「そう?」
「だって“お兄ちゃん“って絶対に恋愛対象として見てもらえない呼び方じゃん」
「すっげーぐいぐい来る」
「だから
「分かったよ
「全然、話聞いてない!」
本当に面白い子だなぁ。
……正直、東京に帰っている間は気持ちが参っていた。
この家に来たときも、死んだじいちゃんの面影を見て落ち込みそうになっていた。
でも、この子のおかげで大分気持ちが明るくなったよ。
「
「そうだね」
俺は茶碗を、
(へぇ~……)
ちょっとびっくり。
普段の振る舞いや話し方を見ているとまだまだ子供だなぁと思ってしまうが、お茶淹れている様子は全然違う。
一つ一つの所作がとても丁寧で品がある。
ここだけを切り取ると、とてもじゃないが十五歳に見えない風格がある。
多分、いっぱい練習してくれたのだろう。
「ところで
あっ、話すといつもの
「うん、アパートの入居者が増えればね。今は一部屋しか埋まってないから」
「入居者を増やすってどうするの?」
「チラシをまくとか誰かに頼むとかかな? まぁ、そこは色々勉強してきて考えてきてはいるけど」
「そっかぁ。じゃあこれからここは、おじいちゃんたちの愛の巣から私たちの愛の巣になるんだ。愛の巣再建計画だね!」
「聞いてるこっちが恥ずかしいわっ! 天国のじいちゃんも顔真っ赤にしてるよ!」
口に含んだお茶を吹き出しそうになってしまった。
「でも、そっかぁ~。どんな人が住むのかワクワクするなぁ」
「そう? 俺はお金が入ってくれればそれでいいんだけど」
「うーん……?」
俺がそう言うと、
「
「そんなまさか」
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近所の女の子の「大きくなったらお兄ちゃんと結婚する」がガチなやつだった件 ~大きくなって再会した俺たち。子供の頃の口約束は時効だと言ってももう遅い?~ 丸焦ししゃも @sisyamoA
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