第12話:私も一緒に行く。

ジャンクショップのMに暗狩くらがりさんからの紹介で来たって言ったら今、丁度控えてる

バイトがあるからやるかって言われた。

だけど失敗したら命の保証はないんだって・・・。

命の保証がないって・・・いったいなにやらされるんだよ?


で、バイトの内容はこうだった。


なんでもライバルの裏社会の連中のヤバい取引を阻止してくれってことだった。

現場に侵入して取引が終わる前に警察にチクるってセコ〜い仕事。

連中に気付かれないようにして警察が来て全員一斉に検挙されるのを見届けたら

帰っていいらしい。


それなら俺でもできる・・・まあ、正当なバイトじゃないけど警察に通報だけして

逃げりゃ警察のお世話になることもなさそうだし・・・。

裏社会の連中にも見つかんなきゃいいんだろ?

だから俺はバイトを引き受けて取引の場所と日時を「M」に聞いて帰ってきた。


ジャンクショップの「M」に俺は信用されてないだろう。

試しに俺が使い物なるかどうか見てみようって魂胆に違いない。

そりゃそうだよな、まあそれが普通だろう。


で、バイトの件をネルに黙っておく訳にもいかないからレジデンスに帰って、

新しいバイトのことを話した・・・そしたら、案の定バリ怒られた。


約束やぶった訳じゃないからいいだろって言ったら


「そのバイト、前のバイトと、目クソ鼻クソだよ」


って言われた。


「要は警察に捕まんなきゃいいんだろ?」


「どっちにしてもヤバいバイトじゃない」

「そんなお仕事ばっか引き受けてたらいつか死んじゃうよ」


「まあな、警察じゃなくても、裏社会の練習に見つかったらたぶん、コンクリート

抱かされて岸壁からダイブだろうな」


「なに自慢げに言ってるの・・・断って来て・・・そのバイト」


「今更断れないよ・・・そんなことしたら信用されなくなるだろ?」

「頼まれた仕事は最後まで責任もってやる、それが俺のポリシー」


「ポリシーなんていらないから・・・」

「分かった・・・断れないお仕事なら、今回は私も一緒に行く」


「なに言ってんの・・・それこそ危険だし・・・だいいち足手まといだよ」


「連れて行かないつもり?」


「あたりまえだろ?」


「マサキだけ海には沈ませない・・・その時は私も一緒に海に沈むから」


「まだ海に沈むって決まったわけじゃないだろ?」


「私は、いつでもどこでもマサキと一緒がいいの、私の脳殻のうかく拾って帰ってくれた時から、私はマサキのモノ」

「マサキが危険って思うところは私もついて行くんだから・・・」


「ストーカーか?」


「そうだよ、悪い?」


「はいはい・・・分かりました」

「だけど、ヤバくなりそうになったらすぐ逃げるからな」


「毎回、おまえを連れてなんてバイトできないからな今回だけだぞ?」

「もし、今回無事にこなせたら、おまえに心配かけたくないから俺この手のバイト

からまじ足洗うわ」


「俺はいいけど、ネルにもしものことがあったら俺生きて行けないから」

「私だって同じだよ・・・マサキがいなくなったら私だって生きていけないもん」


「だな・・・そうだな・・・できたら平和が一番だな」


って訳で、俺は裏社会の連中の取引の当日の夜、バイクにネルを乗せて取引現場に

向かった。

まあ、取引が行われるのは決まって真夜中。


現場はたくさん建ってる港の倉庫街の、今は使われていない倉庫の中のひとつ。

目標は倉庫の入り口の上の壁に「三田村商会」って書いてあるらしい。


つづく。




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