第10話:ネルのおかげ。

「な、なんだこの女」

「お、おまえ人間じゃないだろ?」


「セクサロイ・・・・あ、ガイノイドですぅ」


「ガイノイドだと・・・なんだよそれを先に言えよ・・・」

「女だからってガイノイド相手に俺たちが敵う訳ないだろ、バカ野郎」


「あの、私の彼の無実・・・」


「分かった、分かった・・・証明してやるよ」

「だから、もうとっとと帰れ!!」

「なにも触るなよ」


「じゃ〜お願いします・・・もし彼が釈放されなかったら、また事務所に乗り込んできますからね」

「私の言うこと聞いてくれないと、そこの壁に張り付いてる人みたいになって病院

送りになりますよ」


「わ〜ってるよ・・・暴力女じゃなかったらマジやっちゃうんだけどな」


「おまえ〜殺されたい?」


「悪かった、悪かった・・・・分かったから、もうとっと帰れ!!」


「お邪魔しました、マサキのことよろしくお願いしますね、それじゃ」


愛する人のためならハッタリだってカマそうって勢いのネル。

そう言い残してネルは事務所から出た。


ビルの外に出たネルはその場にしゃがみこんだ。


「え〜ん・・怖かったよぅ」


男を投げ飛ばすくらい強かったネルの義体は実は普通の義体じゃなかったらしい。

セクサロイド兼戦闘用だったみたいで事務所で男を投げ飛ばしたのは反射的に

体が動いたからだった・・・条件反射ってやつ。


ネルの義体は軍の払い下げとして中古ショップに流れてたみたいだ。

そこから風俗に渡ってバグが出たため故障したと風俗のオーナーが勘違いして

ネルを一宮さんちに不法投棄した。

は〜最初は軍人さん相手にナニしてたわけだ。

エッチもできるし、いざとなったら戦えるって最強のガイノイドじゃないかよ。


一宮さんも俺も、そんなこと知らないから勝手にただの風俗嬢だろうって決めて

かかってた。

ってことで、今後ネルに喧嘩を売ろうってやつはみんな病院送りだな。

俺も、逆らわないようにしよう〜っと。


それから二・三日後、俺は釈放されて警察の外に出た。

ちゃんとネルが迎えに来ていた。


なんて格好してんだよ・・・めっちゃエロいし・・・スケスケヘソだしキャミに

超ミニスカート、ちょっと風でも吹くとパンツモロ見えだし・・・もうちょっと

地味でもよかったんじゃねえか?

俺はいいけど、周りの男どもになんかエロ女を見せたくないだろ?


「マサキよかった、釈放されて・・・」


「おまえ、なんて格好してんだよ・・・露出多すぎ」


「マサキがめでたく釈放されたから出血大サービス」

「スッポンポンで来ようかと思ったけど猥褻物陳列罪で今度は私が牢屋に入れ

られちゃうと困るからね・・・」


「レジデンスに帰ったら、好きなだけ裸でいろ・・・」

「でも悪かったな、ネル・・・ネルのおかげだ、ごめんよ心配かけて」


「いいよ・・・マサキ・・・さあ帰ろ?」

「もう、危ないバイトはやめてね・・・私のためにやめて」

「しないって約束して・・・約束させないとまたやるでしょ?」


「分かった、約束する・・・人に後ろ指指されないようなバイトを選ぶよ」

「ごめんな・・・この埋め合わせはたっぷりするから・・・レジデンスに帰って

から・・・」


「エンドレスでお願い」


「まじで?・・・俺を殺すつもり?」


つづく。


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