第9話:ネルの活躍。
ネルは俺が言った一言でスネてから「エッチしたい」攻撃は少し落ち着い
て来ていた。
それ以外はたいして変わったこともなく、俺は仕事にバイトに明け暮れていた。
そのバイトだけど、今回は裏社会の人たちの取引現場の見張り役だった。
だいたい一時間くらいで取引は終了して日当をもらって帰るつもりだった。
ところが、取引がどこからか漏れていたのか現場を警察に取り囲まれて
当然俺も裏社会の連中と一緒に捕まった訳で・・・警察署に連れて行かれて
事情聴取とやらをやらされた。
俺としてはバイトの斡旋業者からもらったバイトをこなしていただけだって
正直に答えた。
だけど、まあ信じてはくれなかったみたいだ。
俺はしばらくは警察のブタ箱にお泊まりすることになった。
そのうち薬物取締法違反とやらに加担したって罪で起訴されるんだろう。
だから一番にネルのことを心配した。
そのネルは俺が朝になっても帰って来ないから心配していた。
で、ネルのところに連絡を入れてもよくなったのはその日の午後だった。
「あ、ネル?・・・ごめん、今ちょっと警察から連絡してる」
「警察?・・・なんで警察?・・・マサキなにしたの?」
「バイトで裏社会のやつらのヤバい取引現場の見張り役やってて警察に
捕まっちゃったよ・・・一蓮托生ってやつ、あはは」
「なに呑気に笑ってんの・・・」
「それで、いつ帰って来られるの?」
「当分帰れないかも・・・」
「当分って?」
「そうだな・・・刑が決まったら執行猶予ついても30年くらいは・・・」
「30年?・・・なにバカなこと言ってるの・・・無実なのに」
「なんとか釈放してもらえないの?」
「警察はいちニイちゃんのことなんか真剣にかまっちゃくれないよ」
「まあ、方法があるとしたらバイト紹介してくれた業者に頼んで、ただ俺に
バイトを紹介しただけで、ヤバい仕事とは知らず俺はただ巻き込まれただけだ
って証言してもらうことくらいかな」
「それは事実なんだから・・・」
「分かった、私バイトの斡旋業者のところに行ってくる」
「ダメダメ、やめたほうがいいって・・・斡旋業やってるくらいだし、俺も
詳しくは知らないけど、絶対ブラックだって・・・何、されるか分かったもん
じゃないぞ」
「そんなところにネルはやれないよ」
「私、30年もセックスしないでいられない・・・干からびちゃうよ」
「あのな〜・・・俺の心配じゃないのかよ」
「とにかく斡旋業者の場所、教えて・・・交渉に行ってくるから」
「私のこと心配してる場合じゃないでしょ?」
てな訳でネルは俺から聞いた情報をもとに斡旋業者のアジトに行ったらしい。
そこは古ぼけたテナントビルの4階の部屋だった。
事務所らしき部屋のドアに小さな文字で「part time job」って書かれてあった。
ネルはそのドアをコンコンと叩いた。
そしたら中から男の返事する声が聞こえた。
「お邪魔しますぅ・・・」
そう言ってネルはドアを開けて中に入った。
中にないると、高そうなふわふわのソファに男が三人座ってポーカーかなにか
やっていた。
で、その中の一人がネルを見て言った。
「ん?・・・ネエちゃん・・なに?バイト」
「こりゃまた・・・ネエちゃんくらいべっぴんならいくらでも仕事あるよ」
「あの、バイトじゃなくて・・・私の彼氏が警察に捕まってるんです」
「ここで紹介されたヤバい取引現場の見張り役してて、それでヤバい人たちと
一緒に警察に捕まっちゃって・・・」
「なんだよ・・・そんなことか・・・」
「あの、私の彼氏はただバイトを紹介されて現場に行っただけなので無実を
証明していただけまでんか?」
「そんなことよりネエちゃん、俺たちと遊ばないか?」
「ちょうどヒマしてたとこだし・・・楽しいことやろうぜ」
「私、そんなヒマありません」
「私の彼氏が無実だって証明して欲しいだけです・・・」
「あんたの彼氏、なんて名前?」
「
「歳なんかどっちでもいいわ」
「正樹か・・・あいつには普段いろいろ助けてはもらってるからな、言われた
ことはこなしてるし無理も聞いてもらってるし・・・」
「分かった・・・一肌脱いでやるよ・・・けどタダって訳にゃいかないな」
「ネエちゃんが俺たちの相手してくれたら正樹の無実証明してやるよ」
「そんなこと・・・」
「いいじゃん・・・減るもんじゃなし・・・」
「貞操観念が減っちゃいます」
「うじうじ言ってないで、こっちへ来いよ」
「三人で代わる代わる可愛がってヒーヒー言わせてやるからよ」
そう言った男の一人がネルの腕を掴んだ。
でも、次の瞬間、ネルの腕を掴んだ男は部屋の隅っこの壁にへばりついた。
残りの二人の男はその光景を見て固まっていたみたいだった。
「な、なんだこの女」
「お、おまえ人間じゃないだろ?」
「セクサロイ・・・・あ、ガイノイドですぅ」
つづく。
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