第8話:毎日は勘弁してくれ。

さて、ネルが体を持ったおかげで俺はネルとセックスができるようになった。

脳殻だけだった時と違って俺の生活感が劇的に変わった。


ネルは俺に救われたことに恩を感じていて、それがいつのまにか愛に変わっていた。

俺のことを愛してるとも言わないまま、お互い好き同士なんだって当たり前のことのように思ってるみたいだった。

まあ、俺に不服はないけど。


ネルは自分が体を持ったことで自分のことを俺にアピールしてくる。

やたらハグしたがるし、チューもしたがるし、当然セックスもしたがる。

って言うか、俺を喜ばせたがる。


嬉しい?とか楽しい?とかって聞いてくる。


ネルは家にいて元気で体力持て余してるし人間と違って疲れるってことを

知らない。

だからいつでもスタンバイ状態でいられる。


けど俺は仕事とバイトがあるし、時にはバイトも夜中のだったりする時も

あるから、そういう時はめっちゃ疲れてる。


なのに俺の顔を見たらエッチしたい?って聞く。

ネル自身は毎日してもいいらしい。

ネルはすでにちゃんとエクスタシーを感じる体だからエッチしたがるんだろう。


そうなんだ・・・ネルは感じるってことを体が知ってる。

いつだったかエッチしてる最中に、ネルが・・・


「あ、あ・・・あ、マサキ・・・壊れちゃう」


って言ったから、びっくりしたことがある。

ネルがおかしな具合になったのかと思ってエッチやめたら、なんでいいところで

止めるんだって怒られた。


はじめてネルがイケた時は、めちゃ嬉しかったのかテンション爆あがりで

「感じた、感じた」って人の顔を見るたびずっと言ってたな。

そう言う体になってからか、自分は一人前の女なんだって意識を持ったのか

まじで俺を喜ばせようと自分が持ってるテクニックを使いたがる。


一応セックスに特化したセクサロイドだから・・・性に対する知識は熟知してる

んだろう?


だけど毎日は勘弁してほしい。


「ちょっと毎日は勘弁してくれないか?疲れてるんだから」


「なんで?私のこと欲しくないの?愛してないの?」


「そう言う問題じゃなくて・・・毎日なんてしてたら体が持たないの?」

「俺はさ、ロボットでもアンドロイドでもサイボーグでもないんだから」

「加減ってもんがあるだろ?」

「これじゃ淫乱じゃないかよ、セックスに依存しちゃってるんじゃないのか?」


「そこまで言わなくてもいいじゃん」

「私、マサキに喜んで欲しいの」


「まあ、それは嬉しいけどな・・・」

「でもな、だらだらやってたらマンネリして来るだろ?」

「インターバルを置くから、いいってこともあるぞ?」

「しない間、その間は我慢するだろ・・・我慢して、したいって思ってするから

した時、快感も大きいんだよ」

「分かる?」


「だって・・・私、男性にご奉仕するよう作られてるんだもん」


「え〜どっちかって言うとネルは自分がエクスタシーに浸ってるじゃないのか?」


「脳殻だけの時のほうがよかったかもな」


「ひどい・・・すっごい傷ついた・・・マサキのバカ」


そう言ったネルはそれから俺とクチを聞かなくなった。

俺はなだめたりすかしたり・・・。


「俺が悪かったから・・・2度と言わないから・・・機嫌直せよ」

「いつまでそうやってスネてるつもり?」


「ごめんさい、俺が悪かった・・・ネルが壊れちゃうまで頑張るから許して、ね?」


「いいけど・・・ガイノイドだと思って何も感じないって思ってる?・・・私だって

傷つくんだからね」


「はいはい・・・俺が悪うございました」


「私も・・・これからは無理言わないようにするね・・・」

「マサキ、お仕事とアルバイトで疲れてるもんね、ごめんね」


「いいよ・・・ちゃんと話し合えば分かることだから・・・」


なんだけど・・・そういう問題は喉元過ぎればで何度も繰り返すんだよね。


つづく。

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