第3話:仕事なんだけど・・・。
俺は250ccのスポーツ系のバイクに乗って毎日バイク屋に出勤している。
今日も今日とて、いつものように決まった仕事をしていた時、何も考えてない
ネルから
《マサキ?・・・マサキってば?》
ってかかってきた。
「またかよ」
「なに?・・・あのさ、スマホの電源切ってんのに勝手に再起動しない」
《今、なにしてるの?》
「仕事場に来てるんだから仕事やってるに決まってるだろ」
「切るよ・・・ネルと話してるとこ、おやっさんに見つかったらスマホの
電源切れって怒られるからな 」
《体がないって退屈だね、おしゃべり以外することないから》
「だから切るぞ」
《マサキ、いつ帰ってくるの?》
「仕事が終わったら帰るよ」
《早く帰ってきてね》
「帰ったってネルが待ってくれてるわけじゃないだろ?」
「脳殻に向かってただいまって言って俺が楽しいと思うか?」
《だって〜》
《私のせいじゃないし・・・そんなに言うなら私の脳殻拾って帰らなきゃ
よかったんだよ》
「あのなネルが助けに来てくれって言ったんだろうが」
《来なくてもよかったんだよ》
「勝手な女だな」
ったく、どういう性格してんだよ。
ネルってガイノイドだった時どんな女だったんだ?
《マサキって、冷たいよね》
「なに言ってんの?・・冷たくなんかないよ、俺はいつでもホットだよ」
《私のこと嫌ってる?》
《そういう人なんだ、マサキって》
「あのな、人の性格を勝手に決めるつけるな」
《もう少し優しく言えない?》
「俺にどうしろってんだよ」
「もう切るぞ、話してると、おやっさんに怒られるからな、いいかげんにしろよ」
「仕事にだって支障きたすし・・・」
《私よりお仕事の方が大事なんだ》
「だから、そういうことじゃなくて人の言うことをいちいちネガティブに
取るなよ・・・分かれよ・・・俺の立場も考えろよ」
《私の立場は?》
「ネルの立場なんてないの・・・わがまま言うなっつうの」
「うっといからもう切るぞ」
《うっといってなに?》
《ひどくない・・・マサキって誰にでもそうなの?》
「切る」
でも、それからもネルから頻繁にスマホから話しかけられた。
仕事にならないから体調が悪いので早引きさせてくださっておやっさんに
言って早々に仕事を切り上げた。
勝手に人のスマホに入って来といて助けてくれって言っといて
俺に依存しすぎなんだよ。
このさい、ちゃんと言い聞かせとかないと先が思いやられる。
レジデンスに帰ってきてスマホでネルを呼び出した。
なのに出て来ないし・・・。
「仕事中に散々邪魔しといて、なんで肝心な時にいないんだよ」
しかたないので晩飯食ってから風呂に入ってくつろいでるとネルから、
《マサキ、いる?》
ってかっかてきた。
「いるよ」
「家に帰って来たから呼び出したのになにしてたんだよ」
《寝てたの》
「え?寝たりするのか?・・・機械なのに?」
《機械って言われ方するの好きじゃない》
「だけど、他にいいようないし・・・人間じゃないんだからさ」
《でも、機械って・・・ヤダ》
「はいはい・・・ごめん悪かったよ、もう言わないから」
《マサキ、今日はごめんね、お仕事の邪魔しちゃって》
「そのことだけど・・・ああ・・・怒るのもめんどくさい、もういいわ」
「あ〜あ、ネルに体があったらな・・・」
《そうだね・・・だったらラブラブできるのにね》
「まあ、それもできたら嬉しいけど、顔や体があるほうが表情やしぐさが
分かるから一緒にいて楽しいだろ?」
《そうだね・・・でも私、捨てられた女だし・・・脳みそしかない女だし》
「自分でそう言う言い方しないの・・・」
「なんかな〜なんか、いい方法ないかな?」
《あっ、そう言うことなら私を製造してた会社のラボに、
《ひょっとしたら話に乗ってくれるかも・・・》
つづく。
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