第六章 決死の告白

あれから3日後

遊ぶ約束をした日になる

(今日こそ告白しようかな)

そんな弱気な決意を固めて集合場所に行く


集合場所に行くと先に麗美がついていた

『ごめん。待った?』

定番のセリフを言う

『今来たところ…』

麗美も定番のセリフで返してくる

輝は

(このセリフを言う日が来るとは)

そう考えながら今日の目的地の遊園地に向かうのだった


輝たちは最初ジェットコースターに乗ることにした

『麗美はジェットコースター乗れるか?』

輝が並んでから確認する

『大丈夫だよ…ちなみにそれは先に聞かないといけないやつだからね』

麗美に叱られる

『実は決心がついてるうちに並びたかったから…』

そう輝はジェットコースターが苦手なのだ

しかし遊園地にも来て乗らないのもよくないと思い嫌にならないうちに並んだのだ

それを麗美に伝えると

『まじ?怖いなら手でも繋いであげようか?』

少しテンションが低かった麗美がいつものように変わる

『お願いします』

輝は即答し手を繋ごうとする

だが経験がないのでどう繋ぐのが正解かわからず1番離しにくい恋人繋ぎを自然にする

『え!輝君って結構積極的なことあるんだね』

麗美は予想外だったのか結構驚きながら握り返してくれる

輝は好きな人と恋人繋ぎをしているのにジェットコースターの怖さで気づかないようだ

輝たちの番が来る

手を繋いだまま最高点まだ上がっていく

『待って。やっぱ怖い怖い』

輝が言うと

『大丈夫だよ』

麗美がそっと手を強く握る

おかげで輝も決心がついたのか

少し落ち着いて落下をし始める

『やっぱり怖ぁぁぁぁぁぁい!!!!』

本人は怖がっているが周りからは楽しんで見える光景だった

それを見たのはこのジェットコースターが写真を撮ってくれるサービスをしていたからだった

輝は写真を撮る習慣もないのでカバンに写真を特に気にも止めず入れるのだった


昼ご飯の時間になり麗美とお店に入る

あれからずっと手を繋いでいる

でもジェットコースターの恐怖でまだ気づかない

店内に入ると看板に大きくカップル専用メニューと書かれたものがある

『輝君、食べてみない?』

麗美が輝に問いかける

『え、カップル…』

輝が戸惑うと

『今の光景見たら私たちカップルにしか見えないよ』

そういって輝に手を見せる

(!?!?!?)

輝はここでついに気づく

いつの間にか恋人繋ぎをしていることに

『え、え、え、』

輝が戸惑っていると店員さんが来て

『カップルですね。専用メニューがありますよ』

輝が戸惑っている間に麗美が

『それでお願いします!』

輝が考える隙もなく席には

カップルが向かい合って吸うストローが入れられた飲み物を出される

麗美が上機嫌に

『出てきてしまったからには飲まないとね』

輝は何が起こってるのかわからないうちに飲み始める

輝が落ち着いてから追加で昼ご飯を食べてお店を後にするのだった


ご飯を食べた後

遊園地を巡る

麗美は輝がジェットコースターは無理だと知ってから意図的に話題にも出さないようにしてくれていた

(やっぱり麗美は優しいな)

麗美の良いところを再確認した

そうこうしているうちに夜が近づいてくる

(麗美ともっといっしょにいたいな…告白…か)

麗美が輝の手を引っ張って

『最後にさ、観覧車に乗らない?』

輝はここしかないと思い

『いいよ。乗ろう』

覚悟を決めて乗り込むのだった


観覧車は綺麗な夜景を映しながら頂上に向かう

輝は…

(なんて言えばいいんだ…)

思い詰めたような様子でいる

(麗美も夜景を楽しんでいるような表情じゃないよな)

麗美の視点は外を見ているがどこか寂しそうな雰囲気を感じる

観覧車は頂上間近

2人が

『あの…』『輝君…』

頂上についたが2人とも話せない

輝は一旦夜景を見る

それはとても綺麗でこれからも歩んでいく世界が見える

(こんな世界は広いのに俺は告白の一言も言えないのか…)

観覧車は降り始める

降りる直前ずっと無言の空間に麗美が一言

『伝えないといけないことがある』

輝は続くように

『俺も麗美に伝えたいことがある』

ここで観覧車が終わってしまう

2人は目を合わられないまま観覧車を降りる


2人は帰路にゆっくりと向かう

遊園地を出る直前

『麗美さっき伝えたかったことだけど…』

輝がついに決心をして言う

『麗美のことが好きなんだ。一緒に過ごす時間をこれからも大切にしていきたい。この綺麗な世界で君と歩んでいきたい』

輝がずっと考えていたセリフを言う

麗美は悲しそうで辛そうな表情で

『ごめんなさい…輝君とこの綺麗な世界を一緒に歩むことはできない…』

輝は人生最大の告白を断られて立ち尽くす

麗美が

『私の伝えたいことはね…この世界の人じゃないんだ』

麗美は輝に麗美の全てを伝える

『私の好きな人はね。私の命の恩人なんだ。私がすごく小さい時に40ぐらいのすごく勇敢で優しいお兄さんが突っ込んできたトラックから私を庇って…消えちゃった…そのお兄さんは過去に行く研究をしてて賞も取るぐらいだったんだ』

麗美は輝の方向を向く

『だから私は過去に行くことが可能になってからすぐに来たんだ。私の命の恩人に会うために』

輝は事態が理解できない

麗美がさらに続けて

『やっぱり私の好きな人は勇敢で優しい人だったよ。でも私は帰らないといけない。ここに来れた理由も当時の研究を調査するという名目があってきたからね』

輝は麗美がいなくなるということは理解して

『まだ研究の調査は終わってないだろ!なんで…なんで…帰るんだよ!』

麗美がいなくなるとわかり輝は泣きそうな顔で強く言う

麗美は下を向き

『この世界の人との必要以上の接触…これが私が帰る理由…』

輝は黙り込む

原因が誰であるか理解するから

麗美は慰めるように言う

『私が帰るのは輝君のせいじゃないよ…私が…好きな人と一緒にいたいと思ってしまったから…』

2人の間に沈黙が走る

輝は麗美に聞く

『次会えるのはいつだ…』

麗美は確定したような口調で

『今から20年後の幼き私』

それは輝と麗美が本来会うはずのタイミング

輝はさらに聞く

『麗美が俺に会えるのはいつなんだよ…』

麗美は曖昧に答える

『最短でも20年後の幼き君』

輝は悲しい気持ちを押し殺して

『2人とも20年後には再会できるんだよな。会えるならこれ以上に嬉しいことはないよ』

麗美にもわかる痩せ我慢をしてることなんて

だけどそれを指摘しても意味がないことを麗美はわかっている

『好きな人と20年会えないなんて辛いよ…』

麗美は今にも泣きそうになりながら言う

輝は麗美を後ろから抱きしめる

『20年後またこうして抱きしめないか』

輝は麗美に問いかける

『う…うん』

2人だけの20年後の約束

忘れることのない約束

同い年の好きな人との最後の思い出の約束

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