第五章 夏休みのハプニング

あれから数日

(夏休みだ!)

自分たちの大学は8月1日から9月の途中までの夏休みがある

(麗美と会えなくなるのは寂しいけど)

輝の頭に遊びに誘うという思考はなかった

なぜならそんなことをしたことないのだから浮かばないのも当然である

そんな時

【スマホの着信音】

スマホを見てみると

リア充友達からのデート写真だった

(あいつ…次会った時は許さん)

友達に苛立ちを覚えていると

【スマホの着信音】

同じような内容かと呆れながら確認する

【明日空いてる?2人で遊びに行きたいな】

麗美からだった

輝は苛立ちを一瞬で無くし即返信

【空いてるよ】

それを送ってから

(即返信はダメだったかな)

そんな風な誰も気にしていないことを考えながら明日の予定が決まるのだった


翌日

輝は楽しみすぎて全然寝付けなかった

そのおかげもあり集合時間の前には着くことができていた

(服装は麗美に選んでもらったやつだし髪も切って大丈夫だよな)

そんなことを考えていると

『輝君!』

前の方から手を挙げてこちらに向かってくる麗美

輝も手を振り返す

麗美はそのまま輝に抱きつく

『フェッ』

咄嗟の行動に驚きの声が出る

麗美はニヤッとしながら離れる

『前から変わってないじゃん。このままだと本当に悪い女に騙されるよ』

輝は前抱きつかれた時とは違い

(好きな人にされたら誰でも驚くだろ…)

口には出さないがそう考えていた

麗美は黙りこむ輝を引っ張り目的地に向かおうとするのだった


2人が向かった先は博物館である

博物館の発明展示場所で

『この技術どうやって思いつくんだろうな』

賞賛するように輝が言う

『この時の考え的に思いつかないよね』

2人とも同じ学科にいるだけあって話が通じる

そんな会話をしながら最新の発明を展示してる場所に来た

『今のタイムスリップは可能ということがわかっているだけで方法が何もわかってないんだよね』

タイムスリップの研究をしている輝が言う

『この時の考えではそうそう思いつかないよね』

麗美も難しい顔をする

輝はどうにかして実現できないかと考える

(今はこんなこと考えるより麗美との時間を楽しむべきだな)

そう結論をつけ

『そろそろ他の遊び場所に行く?』

麗美に問いかける

『うん!次の場所に行こうか』

そうして次の場所に向かうのだった


次に訪れたのは水族館

『わぁ!すごく綺麗!』

麗美はすごく嬉しそうに水槽を覗く

『そうだな。すごく綺麗』

輝はそう言い水槽よりも手前の人を見ている

幸い麗美は気づいてなさそうだ

『ね!ね!あの魚の裏すごいよ』

麗美は輝に言う

輝はそれを見て

『確かにすごいな』

麗美をチラチラ見ながら言う

麗美に連れられて水族館を回る

水族館を見終わり麗美が

『全部すごく綺麗だった!』

輝は7割方麗美を見ていて

『喜んでくれてよかった』

自分の感想を言わないことにした


水族館を出てテイクアウトタイプのコーヒー店で飲み物を持って涼しい場所に横長の椅子に座る

『今日は遊びに来てくれてありがとうね』

麗美は輝に言う

『麗美こそ誘ってくれてありがとう』

輝は素直に感謝する

輝はこの状況を

(今告白するタイミングじゃないか)

自分の気持ちに気づいている輝はそう考える

麗美は考えてる輝を見て

『どうしたの?寝不足?』

そう言いながら膝をポンポンする

輝は考えていたのにいきなりの麗美の行動に頭がパンクする

(え?え?寝転んでいいの。そもそも寝転んだら告白できない…)

いろんなことを考えて輝は落ち着くために

寝転んだ

いや違う。落ち着くためというのも建前でこんなチャンス見逃すはずがない

輝が麗美の膝に寝転ぶと麗美は小さな声で歌い出す

それは輝が一度だけ聞いたことがありそうで記憶にはほとんどない歌だった

輝はそれを聞いて不思議に落ち着き

寝た!

この男は遊びに来ているのに寝た!

楽しみで寝不足なのもあり寝た!

何度も言う寝た!

そこから小1時間後

麗美に起こされて後悔する

(なんで寝たの…せっかく誘ってくれてきたのに…寝てるの俺…)

『本当に寝るとは思ってなかったけど疲れてそうだったし起こすのも悪い気がして…』

麗美も輝の想像を絶する行動に少し戸惑う

輝はすぐに

『今日誘ってくれたのにこんなことになってごめん』

誠心誠意謝る

『大丈夫だよ。悪い気はしなかったからさ』

女神の麗美は許してくれる

輝は頭が上げられない

そのうち麗美が

『今日は時間があれだし、違う日にまた遊ぼ』

輝は違う日があるのかと思いつつ

麗美を送ってから帰るのだった


帰宅後

麗美から

【寝るのは予想外だったけど楽しかったよ。それでさ3日後また遊びに行かない?】

輝は麗美が女神にしか見えなかった

(こんな人をまた誘ってくれるなんて…でも好きな人がいるはずなのになんでこんなに誘ってくるんだろう)

そう思いつつ自分には得しかないと了承の連絡を送るのだった

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