第四章 連れ出しデート
今日も学校がある
いつものように電車に揺られる
過去を思い出しながら
(あそこにいるのは麗美じゃないか?話したら遊ばれそうだし後ろ向いとこう)
瞬時に判断して後ろを向く
電車が大きな駅に着いたようだ
人が多く乗り降りをする
(毎回ここで満員になるんだよな)
嫌な満員電車に揺られていると電車が大きく揺れる
(うわっ!)
電車が揺れた反動で後ろの人に抱きつかれる
(揺れたから仕方ないけど気をつけてほしいな)
そう思いつつ離すのを待つ
(なんかずっと抱きつかれてるんだけど)
流石に注意をしようと思った矢先
抱きついていた人物が顔を覗かせる
(麗美かよ!)
電車の中で知人と会話するのも迷惑かと思い降車するまでそのままなのであった
その間満員電車にも関わらず2人と周りの空間が少し空いてたのは気のせいではなさそうだ
駅に2人で降りて早々に輝が
『絶対わざとしてたよな!』
『良いじゃん。悪い気はしなかったでしょ?』
輝は麗美から顔を逸らして
『な訳ねーだろ』
本心では思ってもないことを言い返す
『本当かな〜。まーいいよ。それよりこんな話してたら遅れるよ』
麗美は輝の手を引く
輝はこれ以上言っても意味がないと思い引かれるままに登校する
学校に向かいながら麗美が聞いてくる
『輝君は彼女とかそんな関係の人いないの?』
『生まれてこの日まで彼女もそんな関係になれそうな女性もいない!』
吹っ切れたように言い放つ
『逆に麗美はいないのかよ』
麗美は遠くを見て
『ずっと好きな人がいるんだ。今は同い年なんだよ。でも相手は全然会ってもくれないし絶対片思い』
『それは辛いな。違う人じゃダメなのか?』
麗美は少し怒ったように
『輝君は相手が振り向いてくれなかったらすぐに相手を変えるの?』
『変えないな』
『そういうこと』
輝は簡単に納得して失礼なことをしたと感じた
『ごめんな。』
輝はなんであんな発言をしたか考えたら麗美を好きと思っていないはずなのになぜか誰かに取られるのは嫌だと感じていた
(抱きつかれて気が滅入ってるだけだな)
そう納得して話を続ける
『そもそも抱きつかれただけで紅くなってたら悪い女に騙されるよ』
麗美は心配と煽りの半々で言う
『紅くなんてなってないし』
『本当に〜。ほらほら紅いじゃん』
麗美は輝の頬をツンツンする
『そんなことせずにちゃんと前見て…』
と言っていると
横を通りつけて信号のない交差点を通ろうとする自転車とカーブミラーごしに車が来ているのがわかる
輝は咄嗟に
『自転車の人止まれ!』
自転車はびっくりして急ブレーキをかける
その後交差点を車が通る
自転車は状況に気づいたようで輝に会釈をして過ぎ去っていく
『輝君良く見てるし咄嗟に言えるのはすごく勇敢だね』
麗美は尊敬するように言う
『たまたま見てただけだよ。とにかく事故がなくて良かった』
輝はほっとする
そのうち麗美との登校は目的地につくのだった
今日も学科で勉強をして帰る
そんな日が毎日過ぎると思っていた
しかし今日は…
(なぜ!ショッピングモールにきているんだ…)
(帰って今日は新作ゲームをクリアしようと思ったのに)
それは一時間前ぐらいにさかのばる
『今日は新作ゲームをやるんだ!』
輝が友達に言う
『今どれくらい?』
同じゲームをしている友人が問いかける
『ラスボス手前!』
驚いた様子で
『輝、ゲームやりすぎだろ』
そんな会話をしていると
『輝君!今日の買い物に来てくれるって言ってくれてありがとうね』
唐突に言われて輝は呆気に取られる
『輝君借りるねー』
輝の友達にそう言い麗美は輝を連れていく
(そんな約束した覚えはないんだけどなー)
輝は声を出す前に連れて行かれたのだった
麗美が申し訳なさそうに言う
『今日は来てくれてありがとうね。時間がそんなにないから急いだんだ』
輝は来てしまったからには仕方ないと思い
『やりたいことはあったけど付き合うよ』
麗美は顔を紅くして
『付き合うって…あっ。今日はよろしくね』
麗美は前を向いて輝を連れていく
麗美が輝と一緒に来たのは服屋だった
『ここの服屋良い服多いんだー』
可愛らしい服装の麗美が言う
『服はあんまり買わないんだよなー』
地味でセンスも特に良くない輝が言う
輝は気づいた
(俺の服装がダサいから連れてこられたのか!)
輝はこの人生どうせ異性に振り向かれないからと服装なんて着れたらいいとしか思ってなかった
そして輝はさらに気づく
(今が1番、人生で異性の相手をしているじゃないか)
そう思った途端
麗美が服を見ている横でセンスも特にない男性が…
輝自身がかっこいいと思う服装の姿で現れる
麗美はそれを見て開口一番
『私が選んであげるね』
哀れみも同情も心配もそのような感情が混じったような顔で言う
輝はその反応を見て麗美に服装を選んでもらうのだった
服装がかなり良くなった輝と元から良い服装だった麗美は夜ご飯を食べることに
『ご飯まで付いてきてくれてありがとうね。もう食べれそう?』
『大丈夫だよ。麗美も食べれるの?』
『食べれるよ!』
そんな会話を肩身に輝は考える
(どこのお店に行こうかなー)
輝は食事が大好きだった
良い店を選んで喜んでもらおうと考える
だからこそ深く考えた
そんな考えてる時に麗美が呟く
『男女で出かけるってデートみたいだね』
そんなことを言われて輝はここでデートに来ていると気づく
せっかく良いお店を考えていたのに全ての意識がデートという事実に引っ張られる
(あ…デートに来てる…)
その間に麗美が
『ここのお店美味しいって聞いたよ!』
そう言って輝を引っ張ってお店に入っていく
一通り食事をして飲めるようになったばかりのお酒を2人で飲みながら談笑する
輝は比較的人よりお酒が強い
だから人気の高いお酒を飲む
麗美はあまり強くないのか度数のあまり高くない甘いお酒をちびちび飲む
だけど顔を赤くして
『輝く〜ん。今日はありがとね〜』
『麗美飲むのやめたらどうだ』
『いいじゃん。輝君と飲むことなんて少ないんだから〜』
『これからも来れるだろ?』
『来れたら良いな〜。それよりもこのあとさ〜。どうする〜』
輝は女性とお酒を飲んだのも初めてだし飲んだ後にする行動なんて風の噂で聞いた程度
(誘われてるのか?いや普通にどこかにいきたいだけかもしれない。そもそも酔った勢いでなんか良くないよな)
『今日はこの辺でお開きにしない?』
『あ…いいよ〜。ちなみに送っていく男の子はモテるよ〜』
『酔ってて心配だし送っていくよ』
お店を出て帰路に着く
麗美は思ったよりもしっかり歩いていた
輝は麗美を送った後家に帰ってきた
話していたゲームをプレイしながら考える
(麗美といるのはすごく楽しいな。もっと一緒にいたいと思うのはなんでなんだろう。これが好きってものなのかな。でも麗美にはずっと好きな人がいるんだよな。その人になれたら良かったな…)
そう考えてラスボスを倒して寝るのだった
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