第2話 ストア派おじさんのリサイクル方法 カトリック・ウォッチャー

どうもこんばんわ。「ストア派おじさん」の企画です。ストア派おじさんというのは、人気漫画「異世界おじさん」から取りました。という単純な話ですが、これがオマージュになっており、「異世界おじさん」では、おじさんが異世界で良かれと思ってやった事が全て空回りになっており、大変なトラブルメーカーへと発展してしまうという、何となく発達障害あるあるなような話になっており、大変に共感できる話です。


「ストア派おじさん」でも、ストア派の哲学って日本では凄くマイナージャンルなのに、そのくせ西洋の思想に与える影響力が半端ないので、こりゃストア派の哲学がわならないとどうにもならんと頑張ってたのですが、単にマイナージャンルのオタク趣味にありがちな、流行らないだけでなく、どうやらその当時の私が大変に預かり知らぬ所で、蛇蝎のように一部の方面から嫌われていたという事が最近判明しました。


なんという事でしょう!マイナージャンルな西洋哲学史を知らない人に良かれと思って推していたら、余計なお世話みたいだとわかってはいたのですが、こんな事になる顛末がまるで「異世界おじさん」みたいです。


「異世界おじさん」は何となく発達障害臭い(世間の空気を読まずセガ信奉者辺もさもありなんです)とは思っていたのですが、まさかそうだったなんて青天の霹靂ではありませんか。


ストア派の哲学、だらだらですが7年位頑張りました。現存するストア派文献だけでなく、教父哲学やラテン文学も読みましたし、ビザンチン神学などにも手を広げて、ストア派(の影響)を限定せずに大枠で捉えようとしました。


現存する文献だけではあまりに少なすぎるので、周辺情報発掘は不可欠です。そうやって周辺情報を掘り起こして情報を統合して、コンテクストを読んでいく、そういう作業の繰り返しです。


また特に重視したのは、ストア派の哲学を肌感覚でわかるような理解を目指した所です。重要な項目を頭だけで覚えても仕方ないので、ストア派を感覚で捉えるとどうなるのか?その辺りを特に注意しました。


そうやってストア派の「内在論理」を体感するという形での理解を目指しました。この辺りは普通のストア派好きがやらない所でありますが。変な所にやり過ぎるわけですが。


それをすると様々な事がスルリとリボンを解くようによくわかる。ニケーア公会議でなぜ、現代の感覚では合理的に見えないアタナシウス派の三位一体論が正統と認められたのか?とか、なぜ新約聖書の山上の垂訓の「心貧しき者は幸いなり」は幸いなのか?など、ストア派の前提つまり「内在論理」がわかれば簡単にわかる話なのです。


また、アウグスティヌスの言う「神の国」と「地の国」の対比はどのような前提に基づいているのか?など、ストア派の哲学の基本を押さえることで見えてくる世界があるわけです。


そのような事をちまちまちまちま、だらだらやっていたら一部の人達にえらく嫌われてしまいました。こんな、日本ではマイナージャンルのオタク趣味のようなものをする事に腹を立てる人がいるのかと驚きしかありませんでした。しかもストア派の文献はどれもこれも西洋の「四書五経」や司馬遷の「史記」などに当たるもの。そんな長年読みつがれて来た名著を読むのを嫌がる人はどこのどなたでしょうか?


それでストア派をだらだらやっていたら、いつの間にかキリスト教に思想転向(転向は左翼用語。改宗ではない。伝統的なキリスト教の教派ではそう簡単には洗礼は受けれないものです。なのでキリスト教に思想転向してもリアルでは禅宗のまんま)してしまいました。


で、ストア派研究は放ったらかしにしといたのですが、だらだらやって来たとは言え、もったいないので時々リサイクルしたくなる。


最近はレトロゲームがやたらと高額で取引されているらしく、オークションで美術品と変わらない値をつけたものもあると聞きます。昔は1000円で中古屋で売っていたファミコンゲームのカセットも目も眩むような値段になるとは。


飽きたカードゲームやレトロゲームのカセットはメルカリで高値で処分する事ができます。しかし、「ストア派おじさん」コンテンツは脳内クラウド保存なので、カードもカセットも残らないのです。


長年ネットゲームをやってますが、本当にネットゲームって何も残らない虚しさがあります。スマホのガチャゲーと違って極端にお金はかからないので、ガチャゲーに何百万も突っ込んでる人のようなのはありませんが、時間が溶けるので、そこは残る。


なので、キリスト教に転向してから、「ストア派おじさん」のコンテンツをリサイクルする方法を考えてみました。


それは、カトリック・ウォッチャーです。


カトリック教会、特に教皇庁の動向を探るというものです。それには「ストア派おじさん」のコンテンツは大変に役に立ちます。


日本は、欧州の特定の国やロシアなどのいわゆる特定の国や地域の研究で得意な人はいますが、教皇庁が得意だという人は見たことありません。


元バチカンの駐在大使の人の本を読んでも、あ、この人は教皇庁の内在論理が読めてないなと思いますもの。動向だけをチェックしてわかった気になるという、ワークニあるあるの態度です。仕方ないんです。「ストア派おじさん」がマイナーなのだから。


そこを改善するためとか、教皇庁の動向読みの人がいないからやるとか、そんな話ではありません。


何となく「ストア派おじさん」のコンテンツがリサイクルできそうだから考えてみたのです。


特に、過去に「ストア派おじさん」で遊んでいたせいで、今は現教皇のフランシスコ教皇の発言がなぜか手に取るように理解できるのです。そういう人は日本では稀だと思いますが。


また、最近流行の「グローバル教育」とやらですが、ストア派の哲学という「軸」がないと、容易に空中分解してしまう危うさがあるわけです。戦前の日本の「八紘一宇」も「五族協和」も、ストア派の真髄を理解してないがためにああなってしまった。


まぁ、何かと役に立ちそうだし潰しがききそうなのが「ストア派おじさん」のコンテンツです。


特にグローバリズム(カトリック側ではユニバーサリズムと呼びます)という、ともすれば有耶無耶になってしまいがちなものをソートするにはほぼマストだと思います。トランプ元大統領みたいな、アンチグローバリズムを跳ね返す思想的根拠として、どうしてもそれが必要です。


元ネトゲ廃人のニートには飽きたゲーム以上の価値がないけど、役に立ちそうな人が転がってそうなので、リサイクルしてみたくなるのです。


「ストア派おじさん」の強みは、ほんと教皇庁の動向分析に強くなるくらいしかキリスト教分野であんま使い道がない。

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