53.かくして三日間の祭りは終わった。
閉会式では王太子ウォルマナンド直々にお褒めの言葉を頂いた。
ただしその前に解説のクレイグからは「まだまだ修行が足りないようだ」との厳しい言葉を頂いてしまった。
実際、その通りなので何も言えない。
上位入賞者は準決勝に進出した四名までだ。
決闘場に残された選手はだから4人だけで、一年生組は観客席にいるだろうアガサを除けば皆、帰されてしまったらしい。
僕はなんとなく教室に寄ってみた。
するといるではないか、侯爵家の4人が。
「あ、マシュー。帰ってきたね。結果はどうだった?」
「トバイフ。ああ、ええっと……優勝したよ」
「え、本当かい!? 凄いじゃないか!!」
我がことのように喜んでくれるトバイフ。
ウルザは腕で身を抱くように立ちながら「やっぱり一年生ながら優勝したのね。まったく……底が知れないったらないわ」とボヤきに似た発言をした。
ジュリィは「私なんか上級生相手に一回戦負けでしたよー……」と眉を下げて言った。
エドワルドは舌打ちをして僕をひと睨みしてから、視線を外した。
僕は今日一日のことを振り返りながら、口を開いた。
「ジュリィの戦いぶりは見れなかったけど、他の三人は本当に手強かったよ。いつの間にあんな魔術を習得していたの?」
四人は顔を見合わせて、「侯爵家としては当然の努力をしたまで」と口を揃えて言った。
観客の帰りと一緒になると馬車が込むので、しばらく教室で雑談に興じていると、アガサがやって来た。
「あの、優勝おめでとうマシュー」
「ありがとうアガサ。アガサは観客だったから全部の試合を見れたんだよね? いいなあ」
「うん。どの試合も凄かった……魔導院の生徒としては駄目かもだけど、私じゃ、あの舞台には立てないと思っちゃった」
「僕もレベルの高さに内心でビックリしたよ。優勝は本当に運が良かっただけだ」
「そうなの?」
首を傾げるアガサに、首肯する。
ジュリィが「アガサが戻って来たのならそろそろ馬車も空く頃かしら」と言った。
アガサが名残惜しそうな表情で僕を見たが、すぐにその表情を消してジュリィについて教室を出ていく。
ウルザが「そうね。魔法大祭、あなたのお陰で楽しめたわマシュー。来年は覚えてらっしゃい」と告げて、教室から立ち去る。
トバイフとエドワルドも連れ立って教室から出るようだ。
だから僕も教室から立ち去ることにした。
かくして三日間の祭りは終わった。
多くの課題を得たとも言える、貴重な三日間だった。
◆
第二章はここまでです。続きが気になる方はフォローと★を入れてくださると、作者のモチベーションが上がりますよ!!
次の更新は幕間となります。更新日は明日11月15日とその翌週の11月22日です。その翌日の11月23日から第三章が毎日更新となります。
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