第14話 運と才能と奇跡 - NTR of the Dead -
扉を開け、俺は“突撃”した。
当然、希愛も酒井も驚いていた。まさか俺がつけているとは思わなかっただろうな。
「酒井! これは犯罪だぞ!」
「……なッ! 聖、なんでお前がここにいる!」
酒井は焦りながらも怒鳴ってきた。
ここでヤツを取り押さえて希愛を逃がす。それしかない。
「聖くん、助けに来てくれたの……!?」
「ああ、希愛。今のうちに逃げるんだ! 俺が酒井をぶっ飛ばす!」
「ありがとう、嬉しい」
泣きながらも希愛は俺のもとへ。よし、まずは希愛を助けられた。あとは俺が酒井を全力で止める。この男だけは許せん。教師のクセに生徒に手を出すとは!
「聖お前のようなゴミカス風情がああああああ!!」
怒り狂う酒井はポケットからカッターナイフを取り出した。って、おい! そんな凶器を使うとか反則だろ! てか、余罪が増えたぞ!
ブンッ――と、目の前に刃が。
あっぶね!!
「おい、教師がそんなことしていいのかよ!!」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れええええええ!! 聖お前だけは絶対に許せん!! なぜお前ばかりに可愛い女子が寄ってくるんだ! なぜお前ごときが10万人を越える視聴者を抱えられるんだ!! お前のような人間の最底辺みたいなヤツが!!」
なんだよ、嫉妬かよ。こればかりは『運』としかいいようがない。あと才能かな。たまたま人気が出たんだよ俺は。
希愛と付き合えたのも奇跡だった。
しかし、ここまでボロクソに言われる筋合いはないな。どちらかといえば、酒井の方が圧倒的に犯罪者なのである。
だがあえて口にはしまい。こんなヤツと同レベルに成り下がりたくはないのだ。
「観念しろ、酒井!」
「ふざけるなああああああああああああああああああああああ!!! 死ねえええええええええ、聖いいいいいいいいいいいいい!!」
発狂してカッターナイフを向けてくる酒井。……げっ、俺の胸に目掛けて! やべ、やべえ、やべえええッ!
このままだと心臓をひと突きにされちまう。
死ぬ、死ぬ、死んでしまう……!!!
避けるしかない。
気合で避けてやるッ!!
「うおおおおおおおお!!」
だけど、ギリギリ時間が足りなかった。まずい、殺られる…………!
そう思った時だった。
俺は足を滑らせた。
頭上に酒井のカッターナイフが素通りしていく。セ、セーフ!
カッターナイフは、偶然やってきた校長の胸に突き刺さった。
「…………がはッ」
って、校長ぉ!?
なんで俺の背後にいたんだよ……!
「「「こ、校長先生!!」」」
俺も希愛も、そして酒井も驚愕していた。な、なぜ……。
校長はそのまま倒れた。俺は直ぐに駆けつけた。
「……聖くん。私は君の…………ファンでね。…………どうか、酒井に法のさばき――を…………」
がくっと脱力する校長は、息を引き取った。……なんてことだ。酒井の野郎、校長先生を殺しやがった。これは立派な殺人事件だ。
「ち、違う。俺は聖を殺そうとしたんだ! 校長先生を殺すつもりはなかった!!」
「黙れ、酒井。なんにせよ、お前は人殺しだ! 大人しく捕まれ!!」
「い、いやだ!! 俺の人生が終わってしまう! まだ女生徒とヤりたいんだよ、俺は!!」
そうか、酒井は今までも女子を摘まんでいたんだな。最低な教師だなコイツは。
「とっくに終わっているんだよ、酒井!」
「あ、ああああああああああああああああああああ………!!!」
またもや発狂する担任。俺はまずカッターナイフを足で弾く。
「おらッ!」
「ぐぅうぅぅぅ!!」
なんとか凶器は吹っ飛ばせた。
これなら捕獲するだけだ。
俺は正当防衛の名の下に、酒井にボディブローをお見舞いした。
「くらええええええええええええええ!!」
「ぎょほおおおおおおおおおおおおぉおおおおおうおう………ゲロゲロゲロぉ」
まともにパンチが入ったせいか、酒井は胃を逆流させて嘔吐した。バタリとその場に倒れ、さらに失禁。涙や鼻水などあらゆる汁が漏れていた。
終わったな……!
その後、酒井は逮捕。警察に連行された。
希愛からは何度も感謝され、以前のような関係に戻ることができた。やっと元通り。
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