第12話 NTRない為の恋愛相談
希愛は家に帰った。
俺の配信に出るため、準備をするようだ。俺の方も配信環境を整えていく。それから飯を食った。あとは風呂だ。
湯船に浸かっていると親父が話しかけてきた。
ガラッと扉を開けて――って、開けるなよッ!
「おい、聖。お前、最近いろいろやらかしているようだな」
「お、親父……なにやってんだよ!」
「父さんは心配なんだ。お前がニューであることは知っているし、人気者ということもな。人々の為に事件を解決していることも」
ああ、分かった。親父がなにを言いたいか。
「金はやらんぞ! 家賃として三万は入れているだろ」
「くっ……バレたか。聖、お前の月収は父さんの年収を軽く超えているんだぞ。父さんは……大人のお店に行きたいんだッ!」
「黙れヘンタイ親父!」
俺は扉を閉めた。
結局そっちが目的かよ。母さんにボコられろ!
◆
――さて、配信の時間だ。
【生配信:チャンネル登録者500万人越えの投稿者のヤバすぎる行為】
【視聴者数:72,178人】【16分前にライブスタート】
【トップチャット:ネギ、おろち、2d0Kwp...】
【コメント】
ですよねー
アカン
ヤミだけに闇が深い
やべええええええええ
くそだな!
ヤミくんが悪いわけじゃないでしょ
アンチかな
はよ通話
アホばかり
信者うざい
ニューよ、はよ電話するんだ
ナイスパ!
ないすぱ
凸者まだー
前半はビッグニュースを取り扱いつつ場を盛り上げる。この方が視聴者が沸くし、盛り上がる。後半には希愛の相談を聞くという流れだ。
今のところは『ヤミ』というチャンネル登録者数500万人を越える人気動画投稿者の実はそれほどヤバくはない情報を暴露していく。
正直、俺は『ヤミ』のことがそれほど嫌いではない。
彼のことはリスペクトしており、単に話題性があるから些細な問題でもあれば取り扱っていた。その方がリスナーが喜ぶからだ。
げんにヤミの人気は凄まじく、コメントでも度々その名が流れる。
ヤミの話題を終え、いよいよ希愛の番である。もちろん、名前はニックネーム。確か『AVON』って名前だったかな。
しばらくするとメッセージグループに『AVON』の名が。
きたかっ……!
さっそく次の話題へ移行していく。
俺は希愛(AVON)にアプリで電話を掛けた。
しばらくして繋がった。瞬間でコメントが沸く。
【コメント】
おー! 声かわいい
女の子きたー
女性か
いいねいいね
待ってた
きたああああああああああああ
かわいい
流れるコメントを見つつ、俺は話を進めていく。
「……よろしくお願いします」
「うんうん。それでなにを相談したいの?」
「実は……学校の先生から告白されたんです。こういう時、どうすればいいですか?」
――なッ!!
ま、ま、まさか!!
先生って、酒井のことか…………!?
ちょ、まてよ……。じゃあ、今日の出来事は半分は本当だったのか。俺はどこかで希愛と酒井を目撃して、頭がどうかなって寝取られたことに変換されていたのか。
だけど実際は告白されていた――と。
それが真実か。
いかんな、頭が回らない。ここはコメントで様子を見る。
【コメント】
えー、きもい
先生ってまずくね?
年齢的にヤベー
好きならええんじゃない
う~~~ん、アウト
有罪
生徒に手を出してんじゃねーよ
俺と付き合ってください
ゆるさーーーーーーーーん
無理無理
もしかして、ニューくんの彼女?
絶対やばいって
よかった。コメントは否定的だ。そうだよな、普通そうだ。先生と生徒が付き合うだなんて、そんなのダメだ。てか、希愛を渡してなるものか!
「断った方がいいですね。ちなみに好きな人、いるの?」
「はい。わたしには好きな人がいるので……困っています」
「じゃあ、尚更ですね。AVONさん、勇気を出して断りましょ!」
【コメント】
そうだそうだ!
先生のスペックによる
だめだろ
私は反対ですねえ~
好きな人いるんかーーーい
ちくしょー
相談するまでもなくね!?
↑純粋なんだよ、きっと
たぶん怖いんだって
悩み相談だからおけー
断るべき!!
このまま希愛には『断る』という勇気を与える! そうすれば、もう酒井が寄ってくることはないはず。もちろん俺も希愛を守る……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます