2- 無限NTR編
第10話 何度でも寝取られる
人が集まりすぎて大騒ぎとなった。
さすがの異常事態。教師も駆けつけてきて、いつの間にか警察も殺到。とんでもない数のパトカーが集結していた。
俺は事情を聞かれることになったが、北村は窃盗で逮捕され連行された。最後まで泣き叫び、自分の無実を訴えていた。だが、十分な証拠がある。ヤツはおしまいだ。
「聖、お前はやりすぎだ」
一方俺は職員室に呼び出され、担任の
俺が『ニュー』であることは担任たちも理解しているようだった。だから、下手に俺を刺激すれば世間の晒しものになる。そのことを恐れているようだった。
さっきの光景も見ちまったしな。
「先生、俺は被害者ですよ。北村が俺の人生の一部を狂わせた」
「だとしても、あのライブ会場ような大人数を集めて……暴動寸前にするとは。警察からも厳重注意を受けてしまったぞ」
確かに俺は個人情報をオープンにしているからな。そこに関しては想定外だったし、俺の落ち度でもあった。しかし、それだけ味方がいるということを知れて嬉しかった。
俺はひとりではない。
多くの味方がいるのだ。
「集めたのではありません。偶然、あの場に居合わせてしまったんですよ」
「苦しい言い訳だな、聖。場合によっては退学もありえるぞ……」
にらむように俺を見つめる担任。
しかし、事態は大きく急変した。横からぬっと校長が現れたのだ。
「酒井先生、それは言いすぎですね。聖くんはなにも悪くない」
「なっ……! 校長先生、ですが!」
「なんですか」
「……ぐっ。分かりました」
まさかの校長が俺の味方をした。
微笑む校長は去っていく。
「では、俺も行きます」
背を向け、職員室を出ようとすると、酒井はぶつぶつと何か言っていた。
「…………なぜだ。聖はあの『ニュー』なんだぞ。害悪でしかない。こんな人の秘密を拡散するような生徒を野放しにしていたら学校は終わるぞ」
◆
教室へ帰還すると早々、クラスメイトが俺に殺到した。
「なにやったんだよ、聖!」「ニューとして動いたのか!?」「なんか校門前に百人くらい人がいたよな」「北村ってヤツが捕まっていたよな」「いったい、なんの事件だ?」「彼女を寝取られたんだろ」「えー!?」「詳しく教えてくれ」「希愛ちゃんとはどうなったんだよ!」「私も解決してほしいことが……」「ニューくん、連絡先を!」「ヤッホーに載ってるぞ」
……うお。みんな朝から元気だな。
だがしかし、俺は「なにもなかった」と説明した。これ以上、事態をややこしくするワケにはいかんだろ。
酒井をブチギレさせたら、それこそ退学にされかねん。まあ、アイツにそんな権限はないだろうがな。あと校長が俺の味方だし。
自分の席へ腰を下ろすと、希愛が神妙な表情で声を掛けてきた。
「ねえ、聖くん」
「どうした?」
「退学とかにならないよね? 大丈夫?」
どうやら心配してくれているらしい。
「その辺りはなんとかなった。校長がなぜか俺の肩を持ってくれてな」
「そうなんだ! 良かった~」
別にこの学校を去ることになっても就職先には困らないけどね。俺は暴露系インフルエンサーとしての地位を確立済み。どのみち、このまま配信者を続けるだけだ。
しばらくして授業がはじまった。
身に入らない勉学が続く……。
ようやく平和を手に入れた。
希愛は寝取られていない。……多分。まだよく分からない。真相は今のところ闇の中。早い段階では明らかにするつもりだ。
霜野さんと千夜は寝取られちまったけど、自身の心に傷を負っただけだ。霜野さんはともかく、千夜とは今後の関係を見直す……かもしれない。
そんな簡単に捨てるほど俺は鬼畜ではない。ちゃんと話し合って決めるさ。
放課後となり、俺はどうしようか考えた。
「あ、聖くん。わたしはちょっと職員室に用事があるから」
希愛は行ってしまったし、俺は生徒会室へ向かうべきだと考えた。丁度いい、千夜と話がしたい。
生徒会室まで向かうと“異変”があった。
……あれ、閉まってる。
おかしい。いつもは鍵が掛かっていない。なのに今日は閉鎖されているかのような、そんな気配を感じた。
立往生していると横から声が。
「……あら、聖くんですね」
教科書かなにかを大事そうに抱える女生徒がいた。真面目そうな美少女だった。
「む? 君は?」
「私は生徒会の書記で、
ぺこりと頭を下げられた。
「これは丁寧に。俺は二年の聖です」
「やっぱり先輩でしたか」
「え、てことは一年で書記? 凄いね」
「いえ、たいしたことは……。それより、生徒会長に用事ですよね?」
「そうだ。いないのか?」
「残念ですが、一ノ瀬生徒会長はしばらくお休みです」
「なに!? なぜだ!?」
「体調不良だとかで」
……なんてことだ。もしや、北村に襲われたのがショックで寝込んでいるんじゃ。千夜は、自ら望んで股を開いたわけではなさそうだった。多分、無理矢理……。
それを証明する方法は、千夜が自ら被害を訴えるしかない。俺の証言だけは弱すぎる。証拠もないしな。
そう、何事も証拠が必要だ。
だけど少なくとも、北村は今『窃盗』で逮捕されたけどな。常習犯なので、場合によっては退学処分にもなるだろう。それがせめてもの救いだ。
「分かった。あとで自分からも連絡してみるよ」
「お願いします」
仕方ないので教室へ戻ることに。希愛を待つしかない。
いったん待つが……いつまで経っても希愛は戻ってこない。……おかしい。さすがに一時間は長すぎる。
気になって各教室を探し回ってみた。……いない。
やっぱり、まだ職員室かな?
向かってみようとすると途中で、霜野さんと出会った。
「聖くん。まだ学校にいたんだね」
「そっちこそ」
「これから帰るとこ?」
「希愛を探してる」
「希愛ちゃん? あー、そういえば酒井先生と図書室へ行っていたよ」
「図書室?」
……こんな時間に? なぜ?
「うん、なんでだろうね。それじゃ、私は行くね」
バイバイと手を振って別れた。
俺は直ぐに図書室へ向かう。なんでそんなところにいるんだ?
小走りで進み――到着。
本当なら図書室はもう利用できない時間帯のはず。なのに――。
え……。
なにか声が聞こえたような。
『……希愛。先生は君が好きなんだ』
『や、やめてくださいっ……! わたしには聖くんが――』
バシッと叩くような音がした。……え、希愛が叩かれている?
『聖、聖、聖と!! あんな男のなにがいいんだ! 悪趣味な秘密漏洩野郎じゃないか!』
ガサゴソと衣服を脱がすような音が……まさか、酒井の野郎……希愛を!!
また寝取られるのか。
ふざけんなよ……。
やっと北村を抹殺したのに、今度は酒井!? しかもよりによって教師が!
こんなの現実じゃない!
これは夢だ!!
そして『ぱんぱん』と無慈悲な音が…………。
や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます