023

「しかし、ご年配ばかりって訳じゃねーんだよな?」


「無論。だがしかし、私様と張り合えるものが1人もおらん。爺を含めても、尚」


 つまり、旦那の条件は自分と張り合える奴って事か。つうか龍族は最強種族なんだろ?そこで一番って事だよな?そんな奴と張り合える男なんか超限られてくるじゃんか?


「なんか蜥蜴人間リザードマンはお前等に近いとか聞いたけど?」


「近いとはとても言えぬ。遥か昔には祖を同じとした種族だろうが、現在は別物だな」


 んじゃ蜥蜴人間リザードマンから男を引っ張ってくるのも無しか。そもそもアンナと対等とか考えられんしな。


「本当ならば城にてゆっくり話したいところだが、他も見て貰いたい。構わぬか?」


 おっぱいを押しつけて、上目遣いでお願いされた。そんな顔されちゃあな……


「まあいいけど…その代わり、この糞ジジィ達は付いて来させんなよ?ぶっちゃけぶち殺したいんだし、このジジィは」


 拒絶の瞳をジジィにぶつけながら言った。ジジィ、こめかみに血管が走りまくった。


「それは構わん。良いな爺?」


「しかしアンナ様…このクソガキは協力的ではないのでは?寧ろ我等と敵対を選びそうですじゃ、ならば今ここで、とは率直な意見ですがの……」


「黙れ爺!私様の決定に異を唱えるのか!!」


 しがみ付いているアンナからすんげえ怒気を感じてちょっとビビった。俺でさえそうなんだ。ジジィなんかイチコロだろ?


「は、は!も、申し訳ありませぬ……」


 ジジィが平伏して謝罪する。そのくらいの怒気だったが、いや、怒ってはいないようだから怒気ではないな……


「お前すげえな?ジジィ達が一気に委縮しちまったじゃんか」


「カイト君はそうでもないのだな。これでも自信はあったのだが。今のは龍王覇気と言う。私様のような龍族の王、もしくはその直系のみが使えるスキルだ。龍王の威光をぶつけると言うか。気の弱い者ならば絶命にまで至る」


 あの怒気、いや、覇気は俺にも向けていたのか。いや、ちょっとビビったよ?ホントに。つうか気迫で殺せるのかよ。ヤバいんじゃねーのそれ?少なくとも地上に呼びたくねーよな。下手したら俺の領内で大量の死者が出そうだし。


「まあいいや。どこに行くんだ?」


「うむ。先ほど言った畑もそうだし、漁場たる湖もそうだ。牧場も、民の家も、全て」


「見ると言っても協力するとは言って無いからな?」


 なんか済し崩しに協力されられそうだったので釘を刺した。これ以上仕事が増えるのは本気でごめんだし。


 しかし、アンナは可愛らしく笑って首を横に振った。


「カイト君は私様に協力するさ。何故ならば、私様が欲した男なのだから」


 しがみ付いている腕により力を込めて。しかし、あくまでも優しく。自分が欲した理想だから頼みは聞くだろうって事なのか?しかし、奴隷契約には至っていないからな…つまり縛られてはいない。俺の気分でどうとでもなるだろ?なんでそこまで自信があるんだろうな?

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