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「解ったが、考えるだけだぞ?」
言ったらアンナが顔を上げてぱあーっと笑った。やべえ、マジ可愛い。美人さんも際立ったし、笑顔が最強に似合うぞこいつ……
「そうか!では早速参ろうか!!」
なんか手を握って駆け出す。俺はちょっと待てと言うばかりだ。いきなりすぎて追いつかない、色々と。
兵士達もジジィも「お待ちください!」と追いかけて来るのがやっとだし、あいつ等もあっけに取られていたから動くのが遅かったんだな。
あの場所はやっぱり地下室だったようで、薄暗い階段を駆け上がる。しかも何度か半回転した事から、縦長の長い階段だと思われる。
つうかこいつ早え。息を切らさず一気に駆けるとは。他の連中置き去りじゃねーか。
「あ、アンナ様に着いていけるとは、本当に人間か!?」
兵士の誰かが突っ込んだ。そうなるよな、やっぱり。俺じゃなきゃとっくに疲れて潰れてんぞ。
「なんだ、だらしがない。それでも
独り言のようにぼやく。まあ、俺はいろいろおかしいらしいから……
そして、鉄製を思しきドアをバタンと開ける。日の光が眩しく、一瞬目を閉じたが……
「……おお…エルフの里のようだな……」
緑が覆い茂る森!
「つうか、牢屋ならば普通城の地下室に設けるものだろうに、なんで森の中に?」
「……ここも元々は城だったから、カイト君の疑問は間違いだ」
何!?こんなに森森しているのに、元は城だと!?
「どんくらい手入れを放置すればこんだけになるんだ!?」
「そうだな……ざっと三千年は手付かずだな」
三千年も放置!?そりゃ、辺り一面森になるよ!!よく地下室への入り口を確保したと逆に感心する程だよ!!
「ほら、あそこに草が潰れた後があるだろう?あそこから爺たちがあの扉に来たのだ。つまり、あそこも元は道路。いや、今も道路だが、地下室は最低一年に一度は使っているから、他よりも緑の浸食が少ないので、辛うじて歩ける状態なのだ」
「いや……あれもう歩けないだろ……草刈りくらいしろよ……」
使っているんだったら道の整備くらいしろよ……放置にも限度があるだろ……
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