019
まあ、ともあれ、殺し合いをしないのなら、一応なれど謝罪をしたと言うのであれば、争う必要もない訳で。
よって今度は自分の要件を述べる事が出来る訳で。
「俺もお前、つうか
「そう言えばそんな事も言っていたな。よし、ならば私様の城に来るがいい。その用事を聞こうじゃないか!」
超胸を張って。どこに威張る要素があったのか解らんが、とっても偉そうにふんぞり返りながらそう言った。
俺としては
「アンナ様……流石に我等の城に招待するのは反対ですじゃ。人間をこの国に喚んだ事ですら前代未聞だったのですぞ?」
ほら、ジジィもこう言っているし。だから渡してとっとと帰った方が良いんじゃない?
「喧しいぞ爺。私様の決定に何故逆らうのだ」
「逆らうとはとんでもない。前例がないので不安だと言っておるのです。そうじゃなくとも、このクソガキは我等を全く恐れないし敬わないばかりか普通に戦おうとする。今は兎も角、敵に回った場合の事を考えると、本丸を知られては後に困る事になるのでは、と……」
なんでお前等程度を恐れたり敬ったりしなくちゃいけねーんだ。俺にとっては無理やり引っ張ってきたくせにノー歓迎を喰らってムカついた事には変わらないんだぞ。そんな野郎共をどうやって敬えと言うんだ。
「敵に回る事は有り得ぬだろう。私様が欲した理想の男だぞ」
超厳しい目をジジィに向けた。ジジィも兵士たちもビビってたじろいだ程の圧倒的な殺気!
「お前、このジジィは兎も角、他のオッサン達をビビらせんなよ。可哀想じゃねーか」
「そうか?私様としては首領の威厳を発しただのだが」
ケロッとして殺気を引っ込めた。兵士たちが超ビックりして仰け反った。
「アンナ様の圧に怯むどころか要件を叶えさせるとは……本当に人間なのか…?」
「その前に、あの完全に回復させた術だ…膨大な霊力を消費するだろうあの術を繰り出しても息一つ乱れていない……」
兵隊たちがざわざわし出す。見世物じゃねーんだから、目立ちたくねーんだが。
「まあ良いではないか。私様がカイト君を喚んだ理由もそれで理解できると言うものだ。そして、奴隷にする事は叶わなかったが、それを見て一考してくれたら有り難い」
辞儀をするピンク髪、いや、アンナ。つうかカイト
「何で君付け!?」
「一考してくれたら有り難いと言ったであろう?その為に敬意を表した呼び方をしたまで」
君付けは敬意を表した呼び方なのか……こいつなりの、ってのが前提だろうが……
まあ……兵士のオッサン達やジジィの目ん玉が零れるような状態になっているんだ。アンナがそういう行動を取った事や、そう言う風に呼んだって事が信じられんのだろうな……一番偉いんだし、下々の奴にそんな真似はさせないだろうし。
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