012

「な、何!?あの格子を破壊したとな!?」


 なんか驚いているジジィだが、知ったこっちゃねえ。ぶち殺し確定なのは間違いないだけだ。


「うむ!流石私様が見込んだ奴隷!!」


 おっぱいでっかい龍の女が満足そうに腕を組んで頷いているが……


「お前に見込まれたからなんだってんだ?お前にいいように使われてやる義理はねーんだぞピンク髪が……つうかお前もここで死ね」


 発したら仰天とばかりに目を剥いたピンク髪とジジィ。


「き、貴様!我等の支配者ぎゃああああああああああああああああああああ!!!?」


 最後まで言わせずにジジィをビンタした。ジジィ、絶叫と共に転がって行った。


「爺をただの平手打ちで吹っ飛ばすか。うむうむ!流石私様が見込んだ「お前もぶっ飛ばしてやるから安心しろ」え!?私様まで!?と言うか…え!?」


 遮ったらやっぱり信じられんと何かを確認するよう、パタパタと自分の身体を叩いた。


「……読心マインド・リードは機能しておるが……何故!?」


「何が驚きか解らんが、読心マインド・リードは純貴族のスタンダードスキルなんだから扱えて当たり前だろうが。お前が本当に純貴族だったら、の話だが」


「当たり前に私様は純貴族だ!!そうじゃなく!寿命は欠片ほども失われておらん!!奴隷を欲した対価の筈なのに、何故だ一体!?」


 知らねーよ、失敗したんじゃねーの?実際、お前にはセレスとルシフのような好意は全く抱いてねーんだし。あんな仕打ちをしまくって好意があったのか?と思うだろうが、間違いなくあいつ等には好意は他の奴等以上にあるんだぞ。


「き、貴様が欲した力は確か…全ての世界を見通せる目と、それを扱える程の霊力だったな?」


「そうじゃねーが、まあ、そうなったようだな」


「……何故か既に持っているのだが!?」


「え!?そうなの!?」


 今度は俺が驚く番だった。そんな力、奪った記憶も無いぞ!?


「……思考のリンクが全くされていないので何とも言えぬが、貴様既に似たような能力を持っておる!!」


 襟首を掴まれてがっくんがっくん揺さぶられた。こいつも焦っているようだったが、俺には答えようがない。だって本当に知らねーんだもんその能力!!


「ち、ちょっと待て!本当にそんな能力は知らんのだ!!似たような術は持っていた可能性、と言うか、心当たりはがあるんだが……」


「心当たり?」


 此処で襟首を放した。なんか勘付いた顔になっている。期待していいんだよなこの謎現象の解明を!!

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