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「おい人間……言葉には気を付けろよ…私様は実に寛大故に、今の暴言はお咎めなしにしてやるが、次は無い………」


 ドスが利いた低い声で。つか、睨もうが脅そうが全く怖くねーんだけど。寧ろ可愛いんだが。いや、美人系だな。背も高い方だし。


「お前が悪魔ディアボルスじゃないんなら、一体なんだ?その横に二本生えている角で誤解してもしょうがねーだろうが、だったら最初から素性を明かせよ」


「む?確かにそうだな……ならば傾聴せよ!刮目せよ!この私様の名と美しさに!!」


 なんか腕をしなやかに上げてそうのたまった。なんだこいつ?自讃し過ぎじゃねーか?その辺はセレスと対張るかもな。


「私様こそは!!かの龍族ドラグナーの首領にして世界最高の美女!アンナ・ドラゴエルである!!」


 効果音がバーン!!と聞こえそうな程、力強く自分の不満な胸に手を置いてキリッとして発した。まあ、おっぱいデカすぎだから、ついついそこに目が行きがちで、表情は実はよく見なかったんだけども。


「うん!?龍族ドラグナー!?」


「如何にもそおおおおおおおおおおおおおだ!!!貴様が私様を喚んだと言った意味、理解できたか人間んんんんんんんんんんっ!!!」


 超胸を張った。つか、仰け反った。すんごく偉そうに。つか、そう言う演出なのか?


「いやいやいやいや!本物なら本気で助かったし有り難い!!実は「良い!!!貴様の願いなど私様にはお見通しよ!!!」マジで!?すんごい助かるんだけど!!!」


 俺の言葉を遮る程だ。相当な自信があるのだろう!


「貴様如き、矮小な人間の願いなんぞに応えてやる義理は無いが、技巧奴隷を欲していた私様的にはちょうど良かったのだからしょうがない!!」


「本気で助かるぜ龍の姫様!いや首領!!」


「いやいやいやいや!!何の何の!!」


 胸のそりが激しくなった。調子に乗るのもいいが、そろそろ持って行って欲しい!


「じゃあ早速だが、魔王因子サタン・ファクターを持って行ってくれ!これ意外と邪魔なんだよ!」


「貴様は全ての世界を見通せる目を欲していたな!そして、それを扱える程の霊力も!!」


 …………うん?


「あ、あれ?確かにそう言った記憶があるけど、魔王因子サタン・ファクターさえ持って行ってくれればそんなの必要ないんだが……」


「では早速向かおうぞ!!私様の治める龍国へ!!」


「だから話を聞け!なんで純貴族の女子はこうも人の話を聞かないんだ……」


 そう、言ったと同時に、俺の意識は深い谷へと落ちていく感覚を覚えた。要するに寝てしまったって事だ。

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