009

「……透走ウォープでも場所を知っている奴が居なきゃ使えないしな…」


 あるいはマリウエル地上領嫡男様から奪った能力でどうにかできそうだが、場所知らねえってのが先にあって、どうにも儘らない。


 全てを見通せる千里眼フォーカストって能力があるんだが、それでも龍族ドラグナーの世界は見つけられないらしい。厳重で強力で多重の結界を敷いていると言う事だ。


 千じゃなく万の世界を見通せる力があればな……なんなら未来の世界や過去の世界も見れる力とか……


「ほう?流石人間、強欲な。まあ良い。欲する力はそれか?」


 あん?いや…まあ、そうかもな…そんな力があったらいいかなと思っただけでな……


「ただの思い付きか。しかし、その力が宿ったとしても、それを扱うにはかなりの霊力が必要だと思うが?」


「う~ん……じゃあ無限に霊力を調達できる力とかもセットって誰だお前!?」


 超ビックリして振り向いた俺。つうかこれで三回目なんだけど、まさか!?


 そいつはより濃いピンク色の長い髪をふぁっさ―となびかせてドヤ顔を拵えていた。


 肩を露出させた胸の谷間がはっきり見える、際どいドレスのような服を着ていて。濃いピンク色の髪よりも更に濃い赤の服に生える白い肌を前面に押し出してのポージングだった。


「な、なんだお前!?ここは結構面倒臭い結界が張られていて、外部の奴等は突破困難なんだぞ!?」


 それなのに、知らん女が俺に店にいる!!これは結構な事件だった。


「ふむ?私様を喚んだのはお前だと思ったのだが?」


 前屈みとなり、腰に手を当てて、残った右腕の人差し指を俺に向ける女。おっぱいデカい!!ルシフよりも更にデカい!!多少の動きに連動してブルンブルン揺れているし!!


「お、俺がお前を喚んだ?……!?」


 ビックリして言葉を飲み込んだ。よく見ると、そいつの頭には二本の角があったから!!まさか、こいつ悪魔ディアボルスか!?解りやすい形で接触して来ると言ったからそうかもしれないが……


「そうだ。しかし、それは私様にとっても好都合だったがな。欲したのは技巧奴隷。ならば対価として寿命半分としても申し分ない」


 技巧奴隷!?対価だと!?純貴族なのかこの悪魔!?


悪魔ディアボルスにも純貴族が居たのか!?」


 発したら、一気に険しい顔になった。ともすれば噛み殺さんばかりの。魔王となった亜美と同じ縦長の瞳孔をより細めたし!!

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