006

「まあ、カイトさんの言う通り、少なくとも俺達の間では誰も信じちゃいませんけどもね。伝わっている預言も救いも何もない、ただの言葉のようですし」


「なんて伝わってんだ?」


「えっと……種族は統一される。分離していた仲間が一つになる……だったかな?」


 確かに、他の所にも仲間はいるのだろうが、統一されようともお前等が幸せじゃないのなら意味がないしな。


 と、言う訳で、蜥蜴人間リザードマンのラーメンが出来たぞ。


「ほい、味噌バターお待ち」


「これこれ!旨いんだよな、味噌バター!」


 喜び勇んでフォークを取るワイズ。他の連中も待ちきれんとばかりにフォークを既に持っていた。


 昼も終わって一段落。漸く俺達も昼飯が食えるな。


「ルル、賄い何がいい?」


「ワイズが味噌バター食べていた時、本当に美味しそうだったのにゃ。だから味噌バターが欲しいにゃ」


 ほう?いつも煮干しラーメンなのに、たまには他の物も食いたいと思ったか。


「だが、あれちょっとしょっぱいぞ。バターでまろやかになるけども」


「そうにゃん。だからホントは味噌は苦手なのにゃん。だけどワイズが美味しそうに……」


 むむむ、と腕を組んで悩むルル。


「だったら半熟入れるか?もっとまろやかになるぞ」


「う~ん……カイトさんは何にするにゃん?」


「折角だし、味噌で行こうかなと」


「んじゃ私も同じの欲しいにゃん」


 俺の味噌はちょっとお勧めしないけども……まあ、苦手のようだったら俺が食べればいいか……


 使う麺は醤油、塩と違い、太目の縮れ麺。味噌と言えばこの麺だなと個人的にはそう思う。


 それを味噌だれをダシで溶かしたスープに入れる。


 トッピングはネギとチャーシュー、メンマとナルト。そしてバター。


 そしてのそして、この世界では馴染みが無いであろう、生卵!!


「これなんだが、食べるか?」


 覗き込むルルだが、流石に生卵に怯んで顔を背けた。一応食中毒を考えて熱湯に数秒付けて紫外線で除菌しているが、生卵を食べる文化は無いんだろうから、ちょっと敬遠しちゃうよな。


「こ、これ食べても大丈夫なのかにゃん……?」


 超ビクビクしながら生卵を指差す。


「産みたて新鮮に加えて母体の鶏にも薬使っているし、丁寧に洗浄し、サルモネラ菌は熱湯で数秒で無くなるし、念のため紫外線で除菌もしているから問題は極少にない」


「極少って事はやっぱり心配はあるのにゃん!」


 そりゃな。だから食べなくてもいいぞ?俺がこれ食べるから。

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