第10話

 毎日の登下校で、さすがにお互い無言のままでは気まずいので、わたしたちはいろんなことを話した。


 最初は天気の話だとか、学校の話だとかばかりだったけど、好きな映画とか本とか、おすすめの動画なんかも教えあった。

 おかげさまで、わたしは快適に登下校ができている。


 野々宮くんと登下校を始めて一ヶ月が経った頃には、わたしはようやく野々宮くんと普通に話せるようになった。


「あー……夏補習だりいわ」

「そうだね。でも、お盆まで……来週いっぱいまでだよ」

「そうだなあ。補習さぼってどっか行きたい」

「……それは、よくないと思う」


 野々宮くんはくくっ、と低く笑い、クソマジメ、とつぶやいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る