第2話
粘土を丸めて雑にくっつけたようなわたしの身体は、好奇の目にさらされることが多い。同級生からはおっぱい星人とからかわれ、知らないおじさんからは息荒くおっぱいと連呼され追いかけられた。下級生からは真正面から揉まれた。
一部の同級生と上級生の女の子からは、歩いているだけで色気を振りまいていると陰口を叩かれたこともある。
こんな胸が恥ずかしくて、隠すように下を向くのが癖になった。胸を潰す方法を探したり、わざと小さい下着をつけたりしたものの、うまくいかなかった。
お母さんに頼んで、体操服は一番大きなサイズを買ってもらって、できるだけ胸を隠すようにした。
男の子用の、しかも一番大きなサイズのシャツだったから太ももまですっぽり隠れて、体育の時間も安心──のはずが、シャツはきっちりズボンの中に入れこめと、みんなの前で先生に怒鳴られた。
わたしはしぶしぶ裾を少したるませてズボンに入れこんだ。きっちり入れるまで先生は見逃してくれず、体操服が胸の山をくっきりと描いたところで、先生は満足そうな顔をした。死ぬほど恥ずかしくて、次の日わたしは学校を休んだ。
そのことがあってから、わたしの背中はさらに丸くなった。
下を向くほど、この胸だけでなく自分のすべてが嫌いになった。この顔も髪も手も足も声も、陰気な性格も。全部なかったことにしたかった。
高校生になっても、わたしは変わらないままだった。
むしろ猫背と陰気に拍車がかかり、高校二年生になったにも関わらず、友だちひとりできやしない。用事があるときだけ、先生や他の生徒が遠慮がちに話しかけてくるくらいだ。
わたしが選んだ高校は幸いに校則が緩いので、髪の毛や制服の着こなしで胸を隠せる。余談だけど、体操服の着方も特に指示されない。相変わらず私は一番大きなサイズで身体を隠している。
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