綺麗ごとは大作家様になって札束のベッドに寝そべりながらのたうち回れ!

「ジョシュ、お前の書いた『活字アレルギーな彼女』だが僅か5PVじゃないか(9月8日時点)」


「なに言っているんですか、言い換えれば5人も読んでくれたんですよ。その後で☆を3個もくれた方がいました」


「それはいいとして、私が教えてやった心理学を何一つ活用してないのはどういことだ? キャッチコピーだって、どこかで聞いたことがありそうなくらい平凡じゃないか。短編なんだからもっとヒネらないと多くの読者に読んでもらえないぞ」


「そうは言ってもですね。【爆笑必死】とか【全米が震撼】とか【涙が止まらない!】なんて、そこまで自信がある訳じゃないから誇大広告みたいなキャッチコピー書けないですよ」


 ちっちっち、とハカセは人差し指を左右に振る。


「もちろん具体的な数字を表記したら虚偽になるが、【涙が止まらない!】を誇張表現と取るかは読者だ、お前じゃない。もし読者に『涙なんて出なかったわwww』と言われたら、『ワイは出たもん』って返せばいいのだ。多少の誇大広告になっても読まれないよりは読まれた方がいいだろ?」


「良いものを書けば読んでもらえます! 分かってくれる人がいます!」


「やめちまえ! 物書きなんてやめちまえ!!」


「な、なんですか突然!?」


「あまいぞ、ジョシュ。お前はカントリーマ〇ムのプリン味並みに甘い! 小説は読まれてなんぼだ! 現にジョシュはそんな綺麗ごとを言っておきながらPVを気にしていたではないか! そんな綺麗ごとは大作家様になって札束のベッドに寝そべりながらのたうち回れ!」


「ぐぅ……。だいたいですね、【全米が泣いた!】みたいなキャッチコピー付けてる作品なんて見たことないですから。だいたいが【書籍化決定】とかそんな感じですよ」


「なぬ!? く、くちごたえしゅるききゃ、きちゃま!」


「ハカセは怒りでバグってしまった」


「RPG風にいうにゃら!」


「そんなに言うなら、ハカセが書いたと思われる『今さら後輩男子から溺愛されても、もう遅い』にイカしたキャッチコピー付けて投稿してみてくださいよ」


「な、ななな、なんだって! 貴様はあれを世に放つというのか!?」


「そんな大仰なモノじゃないでしょうが……。同じ短編で投稿おなしゃーす」


「うう……、わかったぞ。その代わり初日で5PVを超えたら、なんでも一つ言うことを聞いてもらうからな!」


「なんでも? ちなみにどんなお願いなんですか?」


「そ、それは……、わ、わたしと……、ジョシュがだな……」


 モジモジ。


「ハカセと俺が?」


「い、言えりゅか!」


 ハカセがハンドガンのトリガー引いて弾丸が俺の脳天を貫いた。




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