小説を読んでもらうメソッド3
「はぅッ!?」
「起きたかジョシュよ」
「僕は……、また撃たれて死んでいたんですか?」
「ああ、その通りだ。だが安心しろ、タイムマシンで時間を戻した」
「それが出来るなら最初からそうしてくださいよ、メダカの脳なんて移植しないで」
「さて、話は変わるが困ったことになった」
「困ったこと? ハカセが書いたと思われる珍妙な小説のことですか?」
「よし、また殺すことがあれば今度は記憶も消しておくことにしよう。それで困ったこととは、このエッセイがまったく読まれないことだ。現時点で5PVしかない」
「それは仕方ないですよ、だって作者は無名な上に、代表作ですら100ブクマないし、そもそも実績がないんですから……。そんな人の小説講座なんて誰も読まないですよ。社会経験のない引きこもりニートが企業の経営指南するみたいなものです」
「ふむ、まったくもってその通りだ。例えば作者が書籍化作家だったり、年間ランキング1位の作者だったら、このエッセイもすでに5000PVを超えていたかもしれない」
「人間ってやっぱり肩書や地位で物事を判断しますからね、ミシュランの星とか」
「そう、それをミルグラム効果という。今回はこれを使って実験をしてみようと思う」
「実験ですか?」
「ああ、キャッチコピーに『心理学者が教える!』と入れてみた」
「え!? あ! 本当だ、キャッチコピーが『小説が読まれる方法をハカセちゃんが伝授!』から『心理学者が教える! 読まれない小説を読ませる5つのメソッド!』になっている!? でも、これって詐欺になりませんか?」
「これはエッセイだが、物語調なので登場キャラクターが心理学者であれば問題ない(はず)」
「へぇー、ハカセって心理学を専攻していたんですね(どうでもいいけど)」
ハカセはプルプルと頭を振った。
「心理学者だったのは前世の話だ」
「ええ……、それじゃ元、心理学者じゃないですか」
「細かいことはいいのだよ。さて、これでPVが増えるようならミルグラム効果を利用した実験は成功だ」
よかった……。今回は殺されなかったぞ。
「ジョシュ、PVが伸びなかったらお前を殺すから」
「えッ!?」
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