八岐勇者

第1話

「我が呪いは、必ず人の世界を滅亡に導く」

人の世界と異世界の狭間で、

人でありながら人外の力を持ち、

人の世界への一切の干渉を拒む存在。

「勇者」

その力は代々受け継がれ、継承者にはその印が現れる。

しかし、彼の者の呪いによって、力は引き裂かれた。

二つ、四つ、八つ。

一つ一つが強大な力を持つ魂が、

今や八つに分かれた。

一つ、勇者の剣

一つ、勇者の盾

一つ、勇者の身体

一つ、勇者の眼

一つ、勇者の知

一つ、勇者の覇

一つ、勇者の慈愛

一つ、勇者の心

全てを一つとして、勇者の魂となる。

一つ一つは器となるものへ、

器となるものは勇者の魂を得るために、

魂を得る方法は3つ

闘争、

器の命を絶ち、奪い取る。

真の勇者には力が必要だ。

譲渡、

器の力を受け渡し、一つとする。

真の勇者には愛が必要だ。

資質、

勇者の魂を受け止める器は一つだけ。

真の勇者とは元より選ばれしもの。

彼の者の呪いはいかに強力か、元より一つであれば、争いは起きようもない。

三度目の争いは、これまでの比にならないほど大きなものとなってしまった。

心の器の少年、リュウカ。

彼も八岐勇者の一人である。