File3 休日

純一の双子の弟、茂木純平は、犯罪組織ネオンに所属していた。

黒いスーツに黒いネクタイ。純平はほぼ「黒」の服を着ている。

組織の目的は、純平ですらわからない。純平は「ある人」を殺すという目的で組織に所属している。

純平のコードネームは「スリー・ブラック」。

組織がなぜ「ある人」を殺そうとしているのかはわからない。

「ある人」を殺したいという気持ちは同じかは分からない。

だが、他の目的で、純平は組織に入っている。


4月5日の夜。


『おい純平!今どこにいる?』

耳につけていたインカムから声がした。

コードネーム「イレブン・ブルー」こと近藤麗央こんどうれお。純平の幼馴染で大親友だ。青いスーツに真っ赤なネクタイ。肩までのびた金髪の髪。女子に間違えられることもあるが、こう見えても男子だ。

「え、あのレストランだけど」

純平は、レストラン岩井へ変装して入った。変装したから、石田達は純平がいることに気が付かない。

イスに座り、花川が机に置いた水を飲む。

『あそこか。ならオレも行く!」

「えっ、麗央も来るの?ちゃんと変装してこいよ」

『わかってるって!』


###


変装した麗央はレストランに入った。そして、純平の隣に座った。

「お、石田も花川もいるじゃねーか!」

「こらっ、静かに!声でバレるよ」

「すまねえ・・・」

「なんか食べてく?」

「ああ!それじゃあ、純平のおごりね!」

「ええ⁉︎まあいっか。」

「えーっと、何食べよっかな」

麗央はメニューを広げて見ていた。

「じゃあ僕、パンケーキにしよ」

「オレもパンケーキ!」

「すいません」

純平が店員を呼ぶと、花川が来た。


パンケーキの乗った皿が机に置かれた。

「おお〜!オレ、ここのパンケーキ、好きなんだよね」

麗央がフォークを片手に持った。

「そういえば、麗央ってパンケーキが好物だったような?」

「そうそう!子供の頃、8個年上の兄ちゃんがよく作ってくれたんだ」

麗央が食べながら言った。

「麗央ってお兄さんがいたんだ」

「え?おめえも1度、あったことあると思うけど。兄ちゃん、今は警察として働いてて、よく電話するんだ」

「それ、危なくない?ネオンのメンバーが警察と電話なんて、ボスか麗央のお兄さんに絶対捕まるんじゃ・・・」

「大丈夫!まあ、兄ちゃんはオレのこと捕まえようとしてるけど、ボスにはバレなきゃ良いんだよ!」

麗央が笑いながら話した。

「お兄さん、麗央のこと捕まえようとしてるの?」

「うん。 オレが兄ちゃんの手助けしたりすることもあるけど、アイツ、悪い人は嫌いだから。ちなみに、兄ちゃんの名前は依夜いよる。」

「麗央のお兄さんの名前、はじめて知ったかも。そうだ、せっかくの休みだし、次は何しようか」

純平が言った。

「うーん。じゃあ、次は・・・」

麗央は走っていった。

「待ってよ!どこ行くの?

「ちょっとな」

純平は麗央を追いかけた。


###


夜8時。

静岡市にある組織ネオンの寮の15階で、純平と麗央は話していた。

「麗央の部屋、こんな感じだったんだ」

ここは、麗央が使っている部屋。

「ほんとに狭いよな、この部屋」

麗央がテレビの前にあるイスに座りながら行った。

机には、水が入ったコップが2つ置いてあった。

「確かにね。」

麗央の隣のイスに座りながらテレビのバラエティ番組を見ている純平が言う。

「僕らが座ってるイスの後ろにはベッドが1つ、あとはユニットバス、ちっちゃいキッチン、それから冷蔵庫。」

「せまーい!!前は実家暮らしでここよりは広かったからいいけど・・・」

「麗央は狭いのが苦手なのかな?」

純平がつぶやいた。

「さて。何をしようか」

「あー、寿司食いてえ」

「なんでいきなり寿司なの⁉︎」

純平は驚いた。

麗央は冷蔵庫の方に行くと、冷蔵庫のドアを開けた。

「あーっ!寿司あるー!」

冷蔵庫から大きな丸いパックに入った寿司を取り出すと、麗央は机の上に置いた。

「麗央、それ2人前のやつだよ?食べきれないんじゃ・・・」

「うん、2人前だよ!」

イスにすわってはしをもった麗央は寿司を食べ始める。

「僕も食べれそうなのある?」

「じゃあ、寿司一緒に食べようぜ」

麗央が言った。

「うん」

純平ははしを持つと、寿司を食べ始めた。

「純平、今日はオレたちが昔、出会った日だね」

「覚えててくれたんだ」

「もちろん!親友に出会った記念日だからな!」

麗央は笑顔で純平に言った。

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