第6話 《スヌーピーとチャーリーブラウンな私たち》
アイボリー色の皮ジャンを着て、ココナッツブラウン系の地味なズボンをはき、白のスニーカーとは、今どき流行らないかも。
それでもたいがい家を出る時は、この恰好をしている。
チャーリーブラウン(スヌーピーという漫画に出てくる、いつも同じ服を着ている男の子)のようなキャラクターが私は好きだが、そのせいか?
信也は紺のジーンズに白系のシャツ、その上にさらりとした白いジャンバーをはおっている。
上半分が爽やかな白一色。
笑った時のその白い歯。
もう私は信也にあるキャラクターを当てはめずにはいられない。
やあ、スヌーピー、とチャーリーブラウンは今にも声をかけてしまいそうなのだ。
「信也はスヌーピー好きだっけ」
遊歩道の桜並木が終わり、公園の入口が見えてきた。
「嫌いじゃないよ」
無邪気そうな顔が、ふいに唇が届きそうなくらい近づき、信也はニッと笑い、陽子の手を握ってきた。
このさりげなさに、陽子はいつも流されてゆく。
どぶどぶと、大河を流され続けて、しまいには豪快に滝壺という奈落の底に落ちてゆく。
信也から離れられない原因はこれだ。
「信也! あんたがスヌーピーみたいだから、私はチャーリーブラウンなんじゃない」
心は叫ぶ。
陽子は訴えるように、信也の手を強く握りしめた。
二人は、手をつないで、公園の中央の噴水広場へ歩いてゆく。
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