第4話 初取材 ルートム大寺院 蒼風の公園
行く場所は決まっている。ルートム大寺院 蒼風の公園である。ここにはぼくのあこがれている大魔導士ナーリン様の石像が祭られているのだ。あともう二つ目的がある。一つ目は、ルートム大寺院の名物であるみたらし団子を食べる! である。二つ目は将来芸術家になれるかどうかおみくじも引いてみたい。
次の日は猛暑だった。恒星ペデルが、ぎらぎらと輝き、地面からは水分が蒸発しているのか分からないが、もやもやとしんきろう? みたいなものがわき立っている。ルートム大寺院 蒼風の公園は郊外も郊外、△△山のふもとにある。そこまでは国営飛行船に乗っていく。近くの駅に着くと、ルートム大寺院までの切符を買う。1230リンだった。結構高い。
飛行船に乗ると、窓から外をずっと眺めていた。最初はごちゃごちゃした家並みが続いていたがだんだん田畑が多くなってくる。そして山々が見えてきた。畑で何か作業している人も見受けられる。そうしているうちに、
「次はルートム大寺院 蒼風の公園。ルートム大寺院 蒼風の公園です。お降りの方はお忘れ物のないように気をつけてください。またのおこしをお待ちしております」
駅でルートム大寺院のパンフレットが置いてあったので一部もらう。そこに書かれていたのは、一部要約すると、
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ルートム大寺院 蒼風の公園
ここはかつてルートム国が他国から攻められたときに命をかけて国を守った英雄の一人 大魔道士ナーリン様の石像が祭ってある。
余談ではあるがこの国のどこかに大魔道士ナーリン様の魔導の研究の全てが描かれた魔導研究書が眠っていると聞く。伝承によるとまたこの国の危機にひんしたときにふさわしい者の元に魔導研究書は現れるとある。
タヌキ大明神
ナーリン様お付きの精霊であったタヌキが祭られている。
いたずら好きでおまんじゅうが好物だったらしいと伝承には残っている。
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入り口のお土産屋さんでお供え用のおまんじゅうが売っていったので一個買う。130リンだった。そのまま大魔導士ナーリン様の石像の前に行く。ナーリン様はぼさぼさ髪をしていた。そして、足まであるローブを着ていた。そして杖を前に出し何かを唱えていた。
大魔導士ナーリンの石像の前に行き
「僕もナーリン様のように何か一つ事を極めたいです」
と一生懸命に祈る。
「何かは分かりません。ただ文章に関わることで一つごとを極めたいです」
と熱心に祈った
その時、ふっとそよ風がやさしく吹いた。
次にタヌキ大明神をお参りする。おまんじゅうをタヌキの像の前に置く。そして同じように祈る。
祈った後、目を開けるとそこにはタヌキの子がいた。タヌキの子は二本足で立ちあがり、へいへいとおどっている。
白い花びらが乱れ舞う。幻想的な風景だった。そしてタヌキの子は歌った。
タヌキの子 タヌキの子
タヌキの子 タヌキの子
子ダヌキ 子ダヌキ
君の始まりはいつからだい?
つまずいて泣いてもいいじゃん
いつか笑えるときも来るかも知れないよ
それにその始まりがもしかしたら君の
生きる希望になるかもしれないよ
タヌキの子 タヌキの子
タヌキの子 タヌキの子
子ダヌキ 子ダヌキ
タヌキの子 タヌキの子
はっと気付いたときには、タヌキの石像をぽけーっと見ている自分がいた。今のは何だったんだろ。もしかして何かのアトラクションとか? 幻術の魔法がこのタヌキの石像にはかかっているの? たまたま近くを通りかかった神官様に聞いてみる。
「すみません。ちょっとよろしいでしょうか?」
神官様は怪しむように眉をひそめている。
「このタヌキの像は幻術の魔法がかかっているのですか?」
神官様は、少し良いですかとふところからメガネを取り出し、タヌキの石像を見る。そして、
「なにも、魔法が付与されていませんが。どうかなさったのですか?」
「いや、タヌキの子が踊りながら夢を叶えよう! としゃべったんです」
「そんなことは今まで見たことも聞いたこともありません」
神官様は少し身を引いている。怖がられているのかな。
「いや、すみません。かんちがいでした。いやあ、暑くて少し、ぽけっ、としてました」
神官様はそこで、ははっ、と笑って、
「ここも暑いのでしっかりと水分補給して下さいね」
「はい、ありがとうございました」
神官様は失礼しますとぺこりとお辞儀をしてそのまま奥に消えていった。
あとはみたらし団子を食べたり、忘れずに精霊紙投影機で風景や人をパシャパシャと撮ったり、おみくじを引いたりした。
ちなみにおみくじは大凶が出た。
文言には
大凶
今はただただ精進すべし
と書かれていた。
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