第23話 俺と王女は、パーティーに行くことになったらしい。
「わあ、リルサマじゃない!こんにちはぁ」
それから一週間に一度、真央はやってきた。
まったく、やめてほしいわ。
でも、このネックレス、カズヤにもらったの、と言うとすごく悔しそうにしていた。
少し、ざまぁ、って思ったかな。
けど、その後一緒に遊んだ思い出の写真をたくさん見せつけられて、ほんとう、うんざり。
ここまで誰かを悪く言うなんて、真央が初めてよ。
「ねえ、リル、今度付き合いなさいよ」
「え?真央、また何か企んでるでしょう?」
もはや「リル」「真央」とお互いを呼び捨てにできるほどになった。
こうやって仲良くなってしまうのも考えものよね。
「うちでパーティーするのよ。だからリルも来れないかなって…」
「行かない」
そんな面倒なもの、行くわけないじゃない!
カズヤと一緒ならまだしも…。
「パーティー?楽しそう。なら、俺も行こうかな」
カ、カズヤ!
なら、行くしかない。真央に先手を打たれては困るから。
「やっぱり行く」
「えー?いきなりどーしたのー?」
真央はニヤニヤしながらも喜んでいる様子が窺えた。
ということで、パーティーに行くことになった。
◇◇◇
スーツを仕立てる。
一応、お招きを受けているんだからな。
「いらっしゃーい!」
中にはもうすでに皆集まっていた。
「今日は、私の弟の就職祝いに来てくれてありがとーっ!大袈裟にパーティー開いたけど、ゆったり過ごしてね!それでは、乾杯!」
真央の弟ーー真叶は俺とも比較的仲が良い。
そして、俺と真叶はおよそ7年ぶりの再会を果たした。
「おめでとう、真叶」
「ありがと、一也兄ちゃん」
そう。真叶は俺のことを「一也兄ちゃん」と呼ぶ。ずっと、小さい頃から仲のいい幼馴染だから、兄と呼ぶのもおかしくないだろう。
それくらい、親しい。
リルのことを紹介すると、頬を染めていた。
ーーなんだよ。
俺は思わずリルに触れるな、って思ってしまったーー。
どうしたんだ、俺?
「はじめまして、リルです!」
「は、はじめまして…///」
それから夜中までパーティーという名の祝いの席を楽しんだ。
「楽しかった。カズヤ、ありがとう」
「ああ」
「真叶さん?だっけ。イケメンだったね」
「っ…!」
褒めてるってことはーーリルも、好きになってしまったのか?
それはそれで、俺は応援しなければならない。
「…好きに、なったんだ?」
「え?あ、えと」
急いで首を横に振って否定していたが俺にはどうしても彼らは両想いになってしまっている気がする。
そして、それがとても不安だ。
リルと真叶は5歳差。俺なんかより、明らかに歳も近めだ。
カップル成立も十分にあり得るーー。
俺は一人、リルの恋路について考え込むのだった。
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