第16話 俺たちは微妙な雰囲気を作り上げているらしい。

「ちょっと待て。リル、お前は今、タオル越しに裸なんだぞ?」

「うん」

「それを俺に見せるのか!?」

「…だ、め?」


うわあああ。

ダメに決まってるだろぉ?

でもそんなこと言えない!相手は王女…の前に、俺の欲望が少し含まれてる…。

気持ち悪いな。俺。


「はぁ。寒いからいい加減入るよ」

「えっ」


流石に入浴剤入れてからがいい。

タオルで隠しても無理なことはある。


「じゃあ、先に入浴剤を渡してくれ。で、俺が入れるまで後ろを向くこと。いいよって言ったら普通に入れ」


これがせめてもの条件だ。


「わかった」


先に手が伸びてくる。

今まで以上にない焦りで上手く袋を開けられない…(汗)。


「いいよ」


なんとかだ。

だがしかし、この後に大きな試練が…。


「入るね」


ああ。JKと一緒に入るとか…。

俺、いつ警察に捕まってもおかしくないかも。


リルって、意外に胸あるんだな…。

って、気持ち悪、俺。

その後ずっと目を伏せていて、彼女が最後に体を洗うときにさっと出た。

はぁ。危ねぇ。


このままだと恋人以上になってしまうところだった…。


しかし、危機はまだまだ続く。



次の日。

「今日は、美ら海水族館に行く…」


なんか気まずい雰囲気だけど、それはお魚たちが解決してくれた。

ありがとう、フィッシュたちよ。


「ねえ、この魚の顔面白い」


とまあ、笑い合ったりして楽しんだわけだ。

その後は首里城に行ったりして観光した。


その夜も特別なにかあるわけではなかった。



次の日。

「今日は海に行こう」


俺はこれでも鍛えている方なので、見せたからと笑われるわけでもないはずだ。


「お待たせ…」


なんか、普通に可愛いんだが!?

ピンクの水着にフリルがついている、いわゆるビキニだ。


「似合う…か?」

「ああ」


あ、即答してしまった。

しかし、彼女は照れるばかりでそこは気にしていないようだ。良かった。


「その…カズヤって、意外に鍛えてるんだね…」


見られている。がっつり見られていた…。


「変…か?」


ちょっと笑い気味に言うと、首を思いっきり横に振られた。


「全然。むしろ、かっこいいんじゃないか?」


ボッ。


やばい、あとちょっとで全身が沸騰するかと思った。

こういう褒め言葉には慣れていないんだ。


さらっと言うリルはすごい。


それから浮き輪でぷかぷかしたり、バシャバシャ水をかけ合ったりして、楽しんだ。



部屋に戻ってくる。


「ふぅ。海って意外に楽しいんだな」

「だろ?」


雰囲気はいつも通り。

良かった。


「あっ、カズヤ。そこにあるタオル、取ってくれ…わっ」


垂れていた水に、リルが滑る。


「わぷっ」


俺らは後ろにあるベッドに倒れた。







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