第3話 俺が拾ったのはどうやら大物らしい。
「この世界、住んでるところと違うとこだ」
ーーえ?
どういうことだ。人が住めるなんて、地球しかないはずだけど?
「ようはーー違う世界。なんていうのかな?異世界、とでも言っておくか。そこから来た」
それってーー巷で噂の「異世界転生」というやつでは?
「なら、その姿は」
「ああ、似てるが私のじゃないよ。この姿の名前は「日々野梨琉」って名前らしい。「リル」と「梨琉」だ。しかも17歳で年齢も同じ」
やっぱり。
元いた「日々野梨琉」さんの中に「リル」が入ったってことだな。
じゃあ、この話し方からしてーー貴族のお嬢様とか?もしそうなら、納得だ。
「嬉しいことに、記憶まで流れ込んでくる」
「すげぇ」
異世界転生、すげえ。けど、これ、俺も巻き込まれてない?神様、どういうことですか?
だから、あの時倒れたんだ。
もし転生前の子だったらどんなに違ったんだろうな…?
「前の「梨琉」、多分めっちゃ性格悪い」
「えっ」
前言撤回。
今の方がいいかもしれない。
「多分、いじめすぎて婚約破棄されてる。で、家追い出されてる」
なにそれ、まさに巷で噂の令嬢ものの話にめっちゃ寄せてない?
でも、待って。それなら…。
「私今、家無しだ」
「おい、嘘だろ…」
ここは、大人として「うちに住みなさい」とか、保護団体に連れて行くとか、するべきなのかもしれない。未成年なんだから。
でも俺は嫌だ。勝手に生きてけ、だいたい俺はこの家全て変えたいんだよ!
瑠奈が浮気したせいで家にいるの、気持ち悪いんだからな。
ベッドも変えたい、ソファも変えたい。絨毯も、テーブルも、食器も。
「はぁ…とりあえず、学校に行ったら?」
どうやら中学、高校、大学と進学できるらしい。なんだよ、元の本人も金持ちか。
「あー…最低限は行っておく。だが多分全て頭に入ってるよ」
「え、すげぇな」
「まあ、させられたから」
お貴族様も、大変なんだなあ。
でも、金持ちであることに変わりはない。
ーーあ。
いいこと思いついた。
「じゃあ、暇だろ?」
「ん、まあ」
「じゃあ、手伝ってくれよ」
「重っ!?」
「力がないねえ、お貴族様は」
全く、なんにもできないのかもしれないな。
けど、人手は必要だ。
俺は衣替えならぬ家替えを行っている。
買いに行くのについてきてもらい、配置も全部手伝ってもらっている。
家にあった、瑠奈が浮気相手とイチャイチャしてたかもしれないベッドやソファは売りに出すと、結構お金が得られた。
ついでに、リルの服も買った。
「はあ、ほんとに重いな」
「貴族様、これくらいは持ってくれよ」
「その呼び方やめてくれ。あと、私貴族じゃない、王女だ」
ーーえ?
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