23 尊属殺
総司令の部屋。
ラジオから総理の演説が聞こえる。
総理 ついに我々の待ち望んだ日がやって来たのです。長い歴史において最大の汚点であった刀京が、今、ついに終わりを迎えようとしております。武力が全てだったのは名実共に過去の話になるのです。遡れば豊臣から、我々が幾度となく挑み、そして成し得なかった偉業を、目の当たりに出来るのは皆さま、我々を信じ、ここまでついてきていただいた皆さまのお陰に他なりません!武力から解放された真の平和は、皆さまの手によってもたらされたのです!
拍手喝采が聞こえる。
ドアをノックする音がする。
総司令はラジオの音を下げる。
総司令 入れ。
武田が入ってくる。
総司令 君が来るとは。明日は槍でも降るのかな。
武田 降んのは火の雨だろ。
総司令 何か用かね?君の言う通り、社には手を出さないと決まった。これ以上何かあるなら、正式に、会議を通してもらう必要がある。
武田、総司令の机に書類を投げつける。
武田 あんたも悪い男だな。
総司令 …これは?
武田 不正に不倫に恐喝。やりたい放題だなぁ?
総司令 私を脅すつもりかね?
武田 そういうのはもっと得意なヤツがやんだろ。
総司令 では、ただの嫌がらせかな?
武田 今はな。
総司令 君は、忠実な方だと思っていたのだが。
総司令、銃を取り出し武田に突きつける。
総司令 残念だ。また優秀な部下を失うことになるとは。
武田 あんたの射撃が間近で見れるとは光栄だ。
総司令 君のことは、随分と贔屓していたつもりだったんだが。
武田 そりゃどーも。
総司令 それにしても、よく集めたものだ。お聞かせ願えるかな、その手段を?
武田 気になるか?
総司令 とても。何せ、君がこういうタイプだとは思わなかったものでね。
総司令、武田の背後の扉を撃つ。
総司令 出てきたまえ。
伊達が現れる。
総司令 …千秋。
総司令の銃口が一瞬揺れる。
武田、総司令の銃を奪い、間髪入れずに撃つ。
武田 親しかったのか?
伊達 …いや?なぜ?
武田 …深い意味はねぇよ。
伊達 気に入られてはいた。それだけだ。
武田 外面は良いもんなぁ?
伊達 どうも。
伊達、総司令の上着を物色する。
小さなペンダントを手にする。
武田 それは?
伊達 証拠品。
武田 へぇ。
伊達、弾薬を武田に渡す。
武田 どーも。
伊達 射撃の腕前は?
武田 見ての通り。
伊達 頼もしいな。
二人は部屋から出る。
伊達のみ、総司令を一瞥し出ていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます