13 地下牢(北)

 秋葉、手錠をいじりながら鼻歌を歌っている。

 政府の人間が三人入って来る。


戦闘員① 出ろ。

  秋葉 え~?やだ、怖ぁい。もっと優しく言って。

戦闘員② 気をつけろ。甘く見ていると不意を突かれる。

  秋葉 へぇ?よくわかってんじゃん?

戦闘員③ 立て。お前を特別牢に移送する。

  秋葉 それってボクだけ?可愛い子もいる?

戦闘員② 安心しろ。他の二人も一緒だ。

  秋葉 二人、ねえ。

戦闘員① 早くしろ。

  秋葉 ねえ、ボクがいなくなったらさ、花街の子たちはどうなるの?ちゃんとお仕事ある?刀京しか知らない子もいるんだよ?外に出て行って馴染めるかな?

戦闘員③ 安心しろ。一週間後には全てなくなる。

  秋葉 どういうこと?

戦闘員② おい、喋りすぎだ。

戦闘員① いいじゃないか。どうせこいつは死ぬ。

戦闘員③ 刀京殲滅作戦だ。刀京一帯を戦闘機で爆撃する。

  秋葉 あぁ、みーんな殺しちゃうんだ。ひどいなぁ。それとも、それが政府の愛?

戦闘員① さあな。さっさと行くぞ。

  秋葉 そっかぁ、それも愛かぁ。でも、その愛は美味しくないね!


 秋葉、一番手近な戦闘員から武器を奪う。


  秋葉 雑魚の割にいいもの持ってんじゃん♪

戦闘員① 貴様!

戦闘員② 応援を呼べ!

  秋葉 させないよ!


 秋葉、戦闘員を斬っていく。

 途中で戦闘員に手錠を斬らせる。

 全員斬り捨てたところに応援が来る。


秋葉 わあ☆骨が折れそう!


 秋葉、さすがに劣勢。

 刀が飛んできて戦闘員に刺さる。

 それに続いて伊達と香川が現れる。


香川 ちょっと!それ若のだって…!

伊達 助太刀が必要ですか?

秋葉 ははっ、お願い♡


 香川、伊達、秋葉に加勢する。

 伊達、途中で朝倉の刀を回収する。


伊達 今回は、ちゃんと殺してあげます。

香川 いいんじゃないですか!?

伊達 おや、怒ってます?

秋葉 あはっ、神父様余裕だね~。


 三人、戦闘員を倒す。


秋葉 あーあ、助けられちゃった。ありがと♡

伊達 いいえ。

香川 何でこんなことになってるんですか?

秋葉 えー?ボクのせいじゃないよ?この人たちがなーんか特別牢ってとこに行けっていうからさ。しかも、刀京がなくなっちゃうかもしれないんでしょ?だったら黙って捕まってるわけにもいかないじゃない?

伊達 そこまで知っているなら、ひとまず手を組みましょう。ここから出ます。

秋葉 ボクはいいけどさぁ、神父様?

伊達 何ですか?無益な争いはしませんよ。

秋葉 それもいいけど、怒ってる人と手を組むのは、さすがのボクでも気分が萎えるんだけど?せめてもうちょっと笑ってくれない?スマイルスマイル☆

伊達 …大事な、子供たちを奪われて、怒るなと?

秋葉 だからぁ、ボクは誰も奪ってないってば。あの子たちがボクのとこにくるんだよ。


 伊達、今にも秋葉を斬り殺しそうな雰囲気。


香川 あの、それ若のですからね?何度でも言いますけど。

伊達 …わかってます。

秋葉 本当のことだよ?みんな遊びたくてここに来る。愛がほしくてここにくる。ボクはそれを与えてあげる。思う存分、ほしいと思うよりも前に。足りないなんてことがないように。

伊達 …あなたは、それが本気で幸せなことだと思ってるんですね。

秋葉 幸せは人それぞれ違うものでしょ?

伊達 ええ。あなたの幸せは、私の幸せではない。

秋葉 そうだよね?だから、あの子たちの幸せと、神父様の幸せも違うよね?それから、シスターも。

伊達 …なぜ、あなたがシスターのことを知っているのかはこの際どうでもいいです。ですからもう二度と口にしないでください。

秋葉 えー?だってボク、斎庭から来たもん。

伊達 !?

秋葉 シスターの時代の、ね。だから知ってる。どう?悔しい?

伊達 …いいえ。私はあなたも愛します。

秋葉 うわぁ。確かに甘ったるいかも。

伊達 先に行きましょう。このままここにいるのはマズい。

香川 でも、この様子だと、もう地下は敵で溢れてるんじゃ…?

秋葉 そんなの三人いれば余裕でしょ☆あ、でもボク刀ないや。

伊達 そこに転がってるのを使ったらどうです。

香川 じゃあ、あんたもそれ返してくださいよ。

伊達 嫌です。

香川 は!?

秋葉 何でもいいよ。早く行こう?どっち?

香川 はぁ…。こっちです。


 秋葉は適当な刀を拾う。

 三人、歩いて行く。

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