02 朝倉家

 朝倉家。

 言い争っている和服の男二人。


香川 考え直してください。

朝倉 え、無理。

香川 無理、じゃないですよ。無謀です。あの歓楽街に乗り込むなんて。


 朝倉、構わず歩き続ける。


香川 若だってあちらの戦力をご存じでしょう?今の我々ではとても太刀打ち出来ないですって!いくら若がお強いとはいえ、単純に数で負けてます。うちの勢力範囲で戦える者を総動員しても、です。わざわざ負け戦に挑むなんて…!

朝倉 でもさぁ。


 朝倉、立ち止まる。


朝倉 これが最善策でしょ。

香川 何が最善ですか?若に万が一のことがあって、朝倉の血筋がここで途絶えたら、今まで守ってきたものが何もかも水の泡です。

朝倉 じゃあさぁ、お前が俺だったらどうするの。

香川 私は…。

朝倉 行くでしょ。

香川 行きませんよ。

朝倉 嘘だね。行くよ、お前も。

香川 行かない。

朝倉 あっ、今敬語崩れたよね。ねえ。

香川 崩れてません!…他に手があるはずです。水海みなみ様をお救いする方法がきっと。

朝倉 ないよ。あそこは一度入ったら出れないじゃん。

香川 ですが。

朝倉 ということでね。諦めて。


 朝倉の行く手を香川が遮る。


朝倉 何?急ぐんだけど。

香川 自分も行きます。

朝倉 え?やだ。いらない。

香川 若をお守りするのが我々、香川家の役目。微力ではありますが、家臣ともども、存分にお使いください(ドヤ)。

朝倉 あ、終わった? どいて。邪魔なんですけど。

香川 はあ!?折角こっちが折れたっていうのにお前さあ!使って良いって言ってんじゃん!

朝倉 えぇ…。いいよ、そういうの。なんか…重い。

香川 まぁまぁまぁ、そう言わずに!

朝倉 え、無理。

香川 なんでよ!?素直に受け取ってって…。

朝倉 じゃ、そういうことでね。


 朝倉、歩き出す。


香川 ちょっとぉ!


 香川、朝倉を追いかける。

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