第164話 無敵要塞

二か月という時が経ち、エターナル・ホープは平穏な日々を取り戻していました。デニちゃんが指揮を執った防衛施設は日々のメンテナンスが行われ、村の守りは盤石なものとなっていました。しかし、その平穏を破るかのように、久しぶりに魔王軍が村を攻めてきたのです。


戦場の空気が一瞬にして変わり、緊張が走る中、遠くから聞こえてきたのは魔王軍の軍勢が進軍してくる重低音の轟音でした。無数のゴブリンやコボルトが荒れ狂うかのように押し寄せ、地響きを立てながら村に迫ってきます。彼らの上空には、炎を吐き散らすワイバーンと、恐怖を撒き散らすドラゴンライダーたちが空を覆っていました。


「全員、配置につけ!」デニちゃんの鋭い鳴き声が村全体に響き渡ります。彼の指示を受けた兵士たちは、すばやく防衛施設の各所に散らばり、準備を整えました。


魔王軍が村の外壁に迫ったその瞬間、デニちゃんが構築した防衛設備が火を噴きました。鋭利な刃が備え付けられたバリケードが作動し、前線のゴブリンたちを一瞬で粉々に切り裂きました。続いて、魔法のバリスタが火を吹き、空を飛ぶワイバーンとドラゴンに向かって矢の雨が降り注ぎました。その矢には特殊な魔法が込められており、ただの矢ではあり得ない速度と破壊力で空の敵を次々と撃ち落としていきました。


地上でも、デニちゃんが用意した様々な罠が次々と作動し、魔王軍の足を止めました。石を積み上げた要塞からは、強力な魔法砲が次々と放たれ、迫り来る敵を爆発の炎で包み込んでいきます。村の周囲を取り囲む防壁もまた、隠された魔法の力で輝き、接触する魔物たちを弾き飛ばしていました。


「攻撃を止めるな!敵を一匹たりとも村に入れるな!」デニちゃんが指揮を執り、兵士たちは息をつく間もなく次々と弾薬を補充し、魔法を発動させ続けました。その一方で、一馬もまた、魔道レーザーロングライフルで遠距離から敵を狙撃し、デニちゃんの指示を的確にサポートしました。


やがて、魔王軍の勢いは次第に弱まり、ついには退却を余儀なくされました。村の周囲には、無数のゴブリンやコボルトの残骸が散乱し、彼らの上空を覆っていたドラゴンやワイバーンもまた、ことごとく撃墜されて地に伏していました。


デニちゃんの指揮によって防衛施設が完璧に機能し、エターナル・ホープは見事に守り抜かれたのです。その光景を見つめながら、兵士たちは口々に「鶏がこんなに強いとは…」と驚きの声を漏らしました。デニちゃんは誇らしげに胸を張りながら、無言のまま村の守りを再確認していました。


こうして、エターナル・ホープは再び平穏を取り戻し、デニちゃんと一馬の活躍は村人たちに永遠に語り継がれることとなったのです。

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