第163話 最高司令官

戦場での数々の活躍を経て、エターナル・ホープ村へ戻った一馬とデニちゃん。彼らは、平和を守るための次なる挑戦として、砦の防衛力を強化することを決意しました。ところが、村の住民や兵士たちが最も驚いたのは、その計画の指揮を執るのがデニちゃん、つまり鶏だったことです。


「なんで鶏に指揮されてるんだ…?」というのが兵士たちの素直な反応でした。人々は最初、目の前でリーダーシップを発揮しようとするデニちゃんを、半ば信じられない目で見ていました。「まさか、鶏が防衛計画を立てるなんて、冗談だろう」と呟く者も少なくありませんでした。


しかし、そんな疑念はすぐに吹き飛ばされました。デニちゃんの指示は驚くほど的確だったのです。彼はどこか軍人の風格すら感じさせ、翼を広げて防衛拠点の設計図を指し示しながら、村の兵士たちに指令を出していきました。


「ここに見張り台を作れ!」とデニちゃんはクックと鳴き声を上げながら指示しました。兵士たちは最初こそ戸惑いましたが、すぐにその指示に従って動き始めました。「そこの木材をもっと積み上げろ!」と、鶏のくせにやたらと専門的な指示を飛ばし、村の周囲に堅牢な壁や防衛設備が次々と築かれていきます。


「…なんだ、俺たちの指揮官よりよっぽどしっかりしてるじゃないか…」と一人の兵士が呟くと、周囲の仲間たちも頷きました。デニちゃんの指導の下、エターナル・ホープの防衛拠点はみるみるうちに形になっていきました。


「この位置には追加のバリケードを設置しろ!もし敵が攻めてきたときに備えてだ!」デニちゃんが威厳ある態度でそう告げると、兵士たちは一目散に動き出しました。


やがて、村には立派な砦が完成しました。その見事な仕上がりに、かつてデニちゃんを疑っていた兵士たちも、もはやその才能を疑う余地がありませんでした。彼らは口を揃えて、「あの鶏、ただ者じゃないな…」と感心しきりでした。


こうしてデニちゃんの指揮のもと、エターナル・ホープは見事に守りの要塞を築き上げ、かつてないほど強固な防衛拠点を手に入れたのです。

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