第157話 凶暴な閃き
一馬は、しばらく黙り込んでから、ふっとため息をついた。まるで無意識に口からこぼれ出た言葉のように、ぽつりとつぶやく。「ナビィのように探知魔法があればいいんだけど、あいつは今いないからなぁ」その言葉には、かつての仲間への懐かしさと、今の自分が抱える不安がにじみ出ていた。
その一馬の言葉を聞いていたデニちゃんは、ふと何かを思い出したように、誇らしげに言った。「できるぞ、探知魔法」その声には、まるで一馬を励まそうとするかのような力強さがあった。
一馬は驚きの表情を浮かべた。「ほんとに?」と尋ねる声には、まるで暗闇の中に一筋の光を見つけたような期待が込められていた。
デニちゃんは、まるで自分の能力を誇示するかのように、胸を張って答えた。「地獄の鶏軍団に不可能はない」その言葉には、彼の自信と誇りが満ちていた。そして次の瞬間、彼は何やら踊り出した。リズムも意味不明だが、それでも彼なりの魔法の詠唱のようだった。
その結果、驚くべきことが判明した。デニちゃんの探知魔法によって、この周囲十数キロに鉱山資源も地下資源も遺跡も、そして何よりモンスターの影すらも一切ないことが明らかになった。
だが、そんな結果に対して、一馬の反応は予想外のものだった。「モンスターが、いない?」その瞬間、一馬の目が光を取り戻し、まるで何か素晴らしいアイデアを思いついたかのようにひらめいた。「宝だ、それは!」
デニちゃんは、その突然の変化に驚きを隠せなかった。「どうしたんだ急に!?」その声には、いつもの冷静さが少し欠けていた。
一馬は、自信に満ちた表情で答えた。「デニちゃん、俺たちは優勝したんだ」その言葉には、一馬の中に芽生えた確信があった。彼はこの状況を自分に有利に転じられると確信していた。
だが、デニちゃんはまだ納得していない様子だった。「訳の分からないことを言ってないで筋道を立てて説明しろ」彼の声には、やや苛立ちが混ざっていたが、それでも一馬の言葉を待ち望んでいた。
一馬は、ニヤリと笑いながら答えた。「それはね………ということなんだ」彼の説明を聞いて、デニちゃんはようやく納得した。
「なるほど、確かにそれは宝かもしれないな。しかしどうする、今のままではにっちもさっちもいかんぞ」デニちゃんの声には、一馬のアイデアを認めつつも、まだ解決すべき問題が山積みであることを指摘する冷静さが戻っていた。
「うん、そうだね。だからねデニちゃん、俺たちは、人類と魔王軍の戦争に、参加しよう」一馬は、デニちゃんに向けてしっかりとした声で宣言した。その声には、決意と覚悟がにじみ出ていた。
こうして、一馬とデニちゃんは、村の復興計画を進めるための第一歩を踏み出したのだった。
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