第154話 嫌な仕事はやめよう

一馬がギルドの受付嬢から「Eランクに昇格です。おめでとうございます!」と告げられたとき、彼はその言葉に少し驚いた様子を見せた。受付嬢は、にっこりと笑顔を浮かべながら彼を祝福しているが、一馬の心の中には複雑な感情が渦巻いていた。


「Eランクに昇格したら、今までやっていた職人系や荷運び、調理場の仕事がどうなるんだろう?」と疑問を感じた一馬は、すぐに受付嬢に聞いてみることにした。


「あの、Eランクの人間がFランクの仕事をやってもいいんですかね?」一馬は少し不安げに尋ねた。


受付嬢は、相変わらずの笑顔で明るく「ダメです♪」と答えた。


その返答に、一馬は思わず肩を落とし、げんなりとした表情を浮かべた。「あぁ、そうですか………」と力なくつぶやく。


一方、その様子を見ていたデニちゃんもまた、彼の気持ちを察したかのように、さらにげんなりしていた。「なんでこの地獄の鶏部隊と恐れられた私が、スライムの駆除なんてしなければならないんだ。腕がなまってしまう」と、少し苛立ち混じりの声でつぶやく。


それを聞いた一馬は、デニちゃんの言葉に同意しながら、「そうだね」と頷いた。「なぁ、デニちゃん、冒険者の仕事はいったんやめにしないか? 結構まとまったお金もできたし、いったんこの町を離れて小さな村でのんびりやるのもいいんじゃない?」と提案する。


デニちゃんは、一馬の提案に「そうだな、それがいい」と納得し、早速出発の準備を始めることにした。「早速、出発しよう」と言い、二人はすぐに行動に移した。


こうして、一馬とデニちゃんは、エアライダーに乗って、どこ吹く風というような軽やかな気持ちで町を離れ、小さな村でのんびりとした暮らしを求めて、新たな旅路へと飛び立っていった。エアライダーが風を切り、二人を新たな未来へと運んでいく中、心には安らぎと新しい希望が満ちていた。

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