第132話 闘争

エアライダーがアルカリ性の液体を上空から撒き散らし、大地にそれが染み込んでいくと、地面は微かに震え始めた。そして、その震えは次第に激しさを増し、やがて大地を引き裂くかのような轟音が砂漠中に響き渡った。地面が崩れ、裂け目が現れるたびに、巨大なミミズ、つまりデスワームたちがその巨大な体を露わにし、次々と地上に這い出してきた。


その数、約50匹。地面から次々と現れるその姿は、まさに恐怖そのものだった。ミミズといえど、その巨大さと恐ろしさは想像を超えており、ひとたび口を開けると、そこには無数の鋭い歯が並んでいた。


「全軍、構えろ!」アルヴィス皇太子の声が砂漠に響き渡った。彼の指揮のもと、ヴァルフォード王国から派遣された精鋭部隊が一斉に弓を構え、魔法使い達が呪文を唱え始めた。その横には、カラハリス王国から借りた1000人の弓兵と魔法使い達が陣取っている。彼らの顔には一切の恐れはなく、ただ目の前の脅威を打ち砕く決意が宿っていた。


「放て!」アルヴィスの合図で、一斉に矢が放たれ、魔法の火球や雷撃がデスワームたちに向かって降り注いだ。矢や魔法がミミズたちの体に突き刺さり、爆発や炎、雷の閃光が砂漠中を照らし、巨大なミミズたちは激しくのたうち回った。


しかし、デスワームたちもただの獲物ではなかった。彼らは地面を這い回り、時には地中に潜って兵士たちの真下に現れようとする。しかし、事前に周到に計画されていた陣形の対策によって、地上に出たデスワームは次々と攻撃を受け、その数は徐々に減っていった。


だが、数が減ってもなお、デスワームたちは執拗に抵抗を続け、何匹かのミミズはその巨大な口で兵士たちに襲いかかり、無数の矢が突き刺さってもなお、その体はしぶとく動き続けた。一馬はエアライダーからその様子を見つめ、即座に次の指示を下す。「殿下、全員、後退させてください!地面に深い裂け目を作る。そこに奴らを誘導します!」


ちなみにこの裂け目は人工的なもので崖になっている部分はコンクリートのように固くなっており、いかに巨大ミミズと言えど掘り進むのには時間がかかる構造になっている。


アルヴィス皇太子はすぐに指示を受け入れ、兵士たちに後退を命じる。ミミズたちは兵士たちを追うように地上に残り、彼らが引き起こした地面の裂け目に誘導されるように動き始めた。そして、その裂け目に到達したミミズたちは、次々とそこに落ち込み、もがき苦しみながらもついにその巨大な体を支えきれず、崩れ落ちていった。

そのデスワームたちが落ちた穴に向かって魔法使いの兵士たちが一斉に魔法を放った。

攻撃はデスワームが一匹残らず動かなくなるまで続けられたという。


最終的には、全てのデスワームが討伐され、砂漠は再び静寂を取り戻した。一馬はアルヴィスと共に勝利を確信し、その場に立ち尽くした。そして、彼は心の中で決意を新たにした。どんな困難が待ち受けていようと、彼の目標であるこの砂漠地帯の緑化を、必ずや成功させるのだと。

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