第115話 奇襲

前線が鶏によって混乱と恐怖に包まれているその時、帝国軍の後方から静かに忍び寄り、奇襲を仕掛ける者たちがいました。彼らは皇太子が率いる精鋭部隊であり、その中でも特に目立つのは、讃岐守藤原安綱を手にしたラグナールでした。この伝説的な魔剣を携え、彼らは敵の基地を徹底的に破壊する任務を遂行していました。


「目標地点に到着しました、殿下。ここが食糧庫です。」

部隊の一員が静かに報告します。周囲は暗闇に包まれており、奇襲のための完璧な状況が整っていました。


「分かった。燃やせ。」

皇太子は短く命じます。即座に行動が開始され、隊員たちは手際よく燃料を散布し、火を放ちました。炎は瞬く間に食糧庫全体を包み込み、帝国軍の貴重な物資が一気に焼失していきます。


「殿下、次は魔法の設備です。ここで敵の防衛魔法が展開されています。」

ラグナールが手に持つ讃岐守藤原安綱が、薄暗い光の中で不気味に輝いていました。


「やれ、全て爆破しろ。」

皇太子は冷静に指示を下します。ラグナールが魔剣を振り下ろすと、一瞬にして魔法の設備が真っ二つに斬り裂かれ、その後ろで設置されていた爆薬が炸裂し、巨大な爆発が基地を揺るがしました。


「それにしても、やっぱりその武器は凄いな。人間がまっぷったつになるところを生まれて初めて見たよ。私のコレクションにしたいくらいだ。」

皇太子がラグナールに話しかけました。彼の声には冗談交じりの軽やかさがありましたが、その目には本気が感じられます。


「殿下、今宵、讃岐守藤原安綱は血に飢えています。これはまごうことなき魔剣です。どうか手に取られるときには、お気をつけください。」

ラグナールが静かに応じました。彼の声には剣に対する畏敬の念と、何か神聖なものを感じさせる厳かな調子がありました。


「そう言われると、ますます欲しくなった。一馬に頼めばもう一本いただけないだろうか?」

皇太子は軽く笑いながら返しましたが、その目は鋭く、既に次の行動を考えていました。


二人はそのまま次の目標へと進み、出会う敵兵を次々と斬り捨てました。ラグナールの魔剣が閃くたびに、敵の兵士たちは無残にも切り裂かれ、基地内は恐怖と絶望に包まれていきます。彼らの進撃は止まることを知らず、まるで嵐が基地を襲うかのように、次々と重要な施設を破壊し尽くしていきました。


「この基地も、もう終わりだな。」

皇太子がふと呟きます。彼の目には燃え上がる炎と、倒れた敵兵の姿が映っていました。


「はい、殿下。残るは撤退のみです。」

ラグナールが短く応じました。彼らの任務は見事に成功し、帝国軍の前線基地は壊滅状態に追い込まれていたのです。


そして、二人は最後に基地全体を見渡しながら、その任務の完了を確信し、静かに撤退を開始しました。彼らの後に残されたのは、炎と破壊、そして死のみでした。クレストンの反撃は、確実に成功への道を歩み始めていたのです。

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