第114話 地獄の鶏部隊FINAL
帝国の前線基地は、緊張感と忙しさの中で過ごされていました。日々の任務をこなす兵士たちは、ただ命令に従い、来るべき戦いに備えていました。しかし、その日の報告はいつものとは少し異なっていました。
「上官殿、基地の周辺に奇妙なことが起こっています。なぜか、鶏が出現しました。」
帝国兵の一人が、報告を怠ることなく上官に伝えます。
「鶏?なるほど、クレストンは降伏の意思を示すために我々に献上物を差し出したのだな。」
上官はその報告を軽視し、敵が戦意を喪失した証拠と捉えていました。
「はっ、しかしどうやらその鶏たち、凄まじく鬼気迫る様子をしており、不気味なのです。望遠鏡で見て確認していただいてもよろしいでしょうか?」
兵士の声には明らかな不安が含まれていました。
「分かった、確認しよう。」
上官は少しの興味と疑念を抱きながら、望遠鏡を手に取りました。
しかし、望遠鏡を覗く間もなく、鶏たちはすでに基地の方へと急速に迫ってきていました。その動きは尋常ではなく、上官は嫌な予感を覚えました。
「何か嫌な予感がする。射殺を許可する。」
上官の命令はすぐに下され、兵士たちは即座に「アイスニードル」という氷の魔法で鶏を射殺しようとしました。しかし、発射された氷の弾丸は、まるで鶏が弾道を読んでいたかのように全て華麗に回避されてしまいました。
「敵襲!あれは鶏ではない。繰り返す、あれは鶏ではない、クレストンの新型兵器だ!」
上官の声が響き渡ります。ですが、実際にはそれは「鶏」でした。そして、ただの鶏ではなく、クレストンの最強の守りのかなめである生き物です。しかし、今宵の彼らは守りではありません。
その姿を見た帝国兵たちは全員が恐怖におののきました。赤いオーラをまとった『地獄の鶏部隊FINAL』が、まさに帝国軍の玄関から「こんにちは」とばかりに現れました。その姿は、まるで地獄から来た悪魔のようで、その場にいた全ての者が、文字通り地獄に送られるのではないかと恐れました。
「全員、防御魔法を展開しろ!」
上官の命令で、帝国兵たちは一斉に防御魔法を展開しました。だが、それは無駄な抵抗でした。鶏たちは、魔法のバリアを破壊する魔道具を装備しており、バリアはあっという間に破壊されました。
「なっ…!?」
接近を許してしまった帝国兵の一人が、驚愕する間もなく、鶏の餌食となりました。それは一瞬の出来事でした。鶏はその足に装備された長いブレードで、兵士の喉を一瞬で切り裂きました。他の兵士たちも同様に、信じられない速度で動く鶏たちに翻弄され、次々と命を奪われていきました。
鶏たちの蹴り一つ一つが、まるで命を刈り取る死神の鎌のように兵士たちを襲い、彼らの間に恐怖と混乱をもたらしました。帝国の前線基地は、かつてないほどのパニックに包まれ、逃げ場のない地獄と化していったのです。
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