第23話 初めての殺し

昼間、一馬は依頼者とその息子と共に、畑の周囲に簡易的なトラップを設置しました。警戒心のないゴブリンが畑に侵入した際、引っかかるように紐を張り、その紐には小さな鈴を取り付けました。ゴブリンが畑に足を踏み入れると、鈴が鳴り響き、一馬たちはすぐにその動きを察知できる仕組みです。


夜が更け、ついにゴブリンが畑を襲撃しました。4体のゴブリンがトラップに引っかかり、鈴が鳴り響くと、一馬と依頼者、そしてその息子はすぐさま対応に移りました。


一馬は、覚悟を決めてゴブリンに立ち向かいました。必死の思いで、畑を守るためにゴブリンたちを倒すことに成功しましたが、大きな動物を殺すことに慣れていない一馬は、その直後に激しい吐き気を催し、胃酸を地面にぶちまけてしまいました。


それを見た依頼者は、優しい口調で「最初はみんなそんなもんだ、気にしなくていい、よくやってくれた」と一馬を励ましました。その言葉に一馬は少し救われた気がしましたが、それでも心の中には戦闘の現実に直面した重みが残っていました。それでも、農場を守り切った達成感が彼の胸にはあったのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る