第52話 別荘

         翌日


 バッツとカリーは引き続き青の剣と一緒にダンジョンへ潜るとのこと。


 暗殺者になるかは分からないが、自分達も似たような境遇で育ったので、少しでも生きていく選択肢を増やして欲しいのだとか。


 まぁ個人的には、クマの獣人の暗殺者とかちょっと面白そうだとは思うけど。


 ナターシャはバッツ達と一緒に行ってしまった。俺といたら死ぬとでも思ったのだろう。


 と言うことで、今日は一人に。

なんとなくだけど、頭にあったプランを実行してみようかなと、ギルドマスターのリンダールさんに会いに行くことに。


「こんにちは。ギルドマスターに会いたいんですが、大丈夫ですかね?」

「ロドニーさん、こんにちは。ちょっと待って下さい。確認してきますね」


「お待たせしました。お部屋へどうぞとのことです」

「ありがとうございます」


 そのままギルドマスターの部屋へ行く。

ザックの一件から、俺がSランク冒険者というのも少しずつ広まり、ギルドで絡まれることも少なくなってきた。実にいいことだ。


「失礼します」

「ロドニー君、どうしました?」

「今日はちょっとご相談がありまして…」

「なんですか改まって…」


「実は…」


 俺は将来ある子供達の為に何かできないかと考えていた。そこで、簡易的なクランを作れないかと思いついた。


 本格的ではなく、犯罪者か、冒険者くらいしか選ぶことの出来ない子供達に、道を示してあげたい。今回のクリスとカルロスの件で決心した。


 まぁ使いきれないほどのお金を、せっかくなら良いことに使いたいってのもある。


 冒険者になる道を選ぶのならまだ良いが、裏の世界で生きていくことを選んだ場合、よほどの幸運でもない限り悲惨な人生になるだろう。


 と言うことで、王都にも竜の息吹の拠点を設立、ついでに食堂、バーと鍛冶場を作って、冒険者以外の道にも進めるように、施設内でいろんなことを覚えさせる。


 異世界の職場訓練所みたいなものか?


「と言う感じです。なので、大々的に宣伝する訳ではなく、本当に困った人達を助けたいと言うのと、そんな広い物件王都にあるのかな〜って思いまして…」


「それは素晴らしい!!」

「それで、今は王都だけですが、今後、いくつか、同じような拠点を作れたらなと思いまして、拠点としてオススメの街があれば教えて欲しいなと」

「なるほど。しかし、拠点を増やしたとして、管理する人間はどうするんです?」

「まずは王都でやってみて、王都で育てた子供達に管理してもらうか、その場で見つけるかどっちかですね」


「なるほど。分かりました。拠点に関しては少しお時間を下さい。物件に関してですが、私の別荘を使って下さい」

「別荘?」

「えぇ。前に国王から頂いたのですが、私一人では広すぎまして、管理に困っていたのです」

「国王から…」


 まぁ王都のギルドマスターしてるくらいだからな。


「ちなみに、その別荘、見せてもらうことって出来ます?」

「今日の仕事終わったら一緒に行きましょう」

「分かりました」


 だいたいの終わる時間を聞いてギルドを後にする。


 時間が来るまで、変装魔法で変装して、お店が並ぶ商店街へ。


 カルロスの話が本当であれば、商店街の誰かが、貴族と繋がってて、スラムの子供達を誘拐してるかもしれない。


 少しボロい服装でテキトーにブラブラと歩き、付いてくる人がいないかなどやってみるが、誰も付いて来なかった。


 すぐに結果が出る訳でもない。とりあえずパン屋さんでパンを買って帰る。

 ボロボロの服装のままお金を出したので、パン屋さんが少し驚いていた。


 あと、貴族の話を聞けるとしたら、やっぱ娼館だろう。やっぱり聞き込みって大切だから行くしかないよね?


 少し早い時間だったが、入れるお店を探して聞き込み開始。まずはゆっくりとマッサージをしてあげて、体を解してあげる。


 ちなみに、お相手は少し年上のお姉さん。


「すごい…あぁ〜そこイイ〜」

「だいぶお疲れですね〜」

「そうなの。あなたみたいに優しくしてくれる男なんて居ないから疲れちゃって」

「そうなんですか?それは男としてけしからんです」

「あぁ〜ん。そう。そこそこ」


 最近だが、振動魔法をピンポイントで凝ってる所に当てることが出来るようになった。

 おかげで体が軽くなったと喜んでくれて、その後のサービスも張り切ってくれる。


「すっごいスッキリしたわ。お礼にあなたもスッキリさせてあげるわね」

「お願いします」


「うふふ。坊やもだいぶ硬くなってるわよ?」

「お姉さんが綺麗なんで張り切ってますね」

「あら嬉しい」


 そのままお楽しみタイムに入り、スッキリ。色々終わってから王都の貴族について聞いてみるが、王都の貴族は妻が何人もいるから、夜のお店には滅多に来ないらしい。


 たしかにな…まぁわざわざお店で遊ぶより自宅に呼んだ方がいいわな。


「そうですか〜。ありがとうございます」

「坊や、また遊びに来てね?」

「もちろん!!」


 だんだんのお気に入りの子が増えると通うのも大変になるから、そろそろ新しいお店に行くの控えようかな…


 良い時間になったので、ギルドへ行くと丁度リンダールさんも仕事が終わっていたので、別荘を見せてもらうことに。


 冒険者ギルドから歩くこと15分ほど。

 王都の端っこにまで来た。


「ここが私の別荘です」

「ここですか!!」


 目の前にはお城かってくらい大きな家と言うか屋敷?と広すぎる庭。


「いや〜広すぎるでしょう?国王から頂いたので要らないとも言えず困ってたんですよね」

「まぁ広すぎて損はないですから…多分。それで、家賃はどうすれば良いですか?」

「国からの頂き物なので、タダです」

「そうなんですか!!ちなみに、勝手に改装したりとかは?」

「敷地内であれば大丈夫ですよ」


 王都の本拠地として申し分ないくらいの屋敷。しばらくはここの改装で忙しくなりそうだな。

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