第44話 カリーの復讐
冒険者ギルドへ戻ると、すでに二人とも戻っており、知らない冒険者からパーティーへの勧誘を受けていた。
今まであまり勧誘とかなかったのに、装備がカッコよくなったからか?
思えば二人とも俺の周り以外で冒険者仲間みたいなのいるのかな?
なんにせよ、楽しそうに話しているので一安心。
「またせたか?」
「ロドニー。いや大丈夫。俺らが早く来たんだ。そうだ、紹介するよ、こいつはクリス」
「クリス、よろしく。ロドニーだ」
「そう。こいつが俺らのパーティー、竜の息吹のリーダーでSランク冒険者」
「え、えす、Sランク⁉︎ホントに⁉︎」
「まぁ、そんなとこだ。バッツとカリーもAランクだしな」
「えぇーーー!!ぼぼぼぼぼ、僕気軽に話しかけちゃったんだけど、そんなすごい人達だったなんて…すいません。すいません。すいません!!」
ものっすごい勢いで頭をぶんぶんさせて謝ってくるクリス。
「おいおい、クリス、大丈夫だって。俺もみんなも気にしてないし、なんなら話しかけてきてくれて嬉しいしな、なぁロドニー?」
「え?あぁ気にしない。だろ?カリー」
「ええ。クリス、私達あまり冒険者の知り合いがいないから、友達になってくれると嬉しい」
「カリーさん…」
おや?これは恋の始まりか?
気のせいかクリスの顔が赤いような…
「あの、バッツ君、僕、友達と一緒に【青の剣】ってパーティーやってて、その、また話しかけてもいいかな?」
「もちろん!!なんなら、今度飯でも行こうぜ。俺の奢りだ」
「いいの⁉︎ありがとう」
そのままクリスと別れ、ギルドの買い取りカウンターへ。
「竜の息吹の皆様ですね。お待ちしておりました。今回、全部で金貨800枚です」
結構な額になったな…やっぱりやりすぎた…
「ありがとうございます。次からはもう少し早い段階で売りに持ってきますね」
「いぇ、皆様のタイミングで大丈夫ですよ」
笑顔の素敵な受付嬢だったな。今度会ったら名前聞いておこう。
「あぁ⁉︎なんでこんな金額なんだぁ?そんな訳ねぇだろ!!」
反対側から、聞いたことのある声が。
「なので、説明した通り、状態が悪いので通常の買い取り価格から下がるんです。そんな当たり前なこと分かってますよね?」
「分からねぇ!!依頼にはそんなこと一個も書いてねぇ」
「書いてなくても冒険者なら皆んな知ってる常識です!!」
「ねぇお兄ちゃん、ロドニー、あいつって確か、ザックとかってやつだよね?」
笑いながらカリーが聞いてきた。
「あ、あぁ、そうだね」
カリーの変化にすぐ気が付きそっとその場から距離をとるバッツ。
「お兄ちゃん?」
「はい!!」
「どうしたの?」
「いや、なんでも無いよ」
「ロドニー?」
「どうした?」
「今度はこちらから挨拶しようかと思うんだけど、良いかしら?」
「あ、あぁ。優しめのやつで頼むよ」
「うふふ。楽しくなりそうね」
俺達はカリーを先頭にザックの方へと歩き出す。
「ちょっと失礼、あなた、さっきからうるさいんですけど?」
「あぁん⁉︎んだと⁉︎誰だオメェら?」
「あらあら、覚えてないの?まぁソロでAランクのザック様だったかしら?あなたから見たら私達なんてただのザコなんでしょうけど」
ヤバいことになったと感じとった受付嬢が後ろの方へと消えていく。
当然周りの冒険者たちも俺らへ注目。
「おい、あのザックに絡んでる女の子誰だよ?死にたいのか?」
「知らねぇよ。最近王都に来たんじゃないのか?」
「あの雰囲気と装備からしてどっかの貴族令嬢とかじゃねぇの?」
ザワザワと色んな話が飛び交う。
「んぁ?よく見たら、この前俺にびびって逃げたガキじゃねぇか?おい、そこの黒いの、もう一度言う、俺の前から消えろ」
カリーのことは覚えてなくても、俺のことは覚えていたらしい。
「はぁ〜。ザックだったよな。お前自分の命の心配した方がいいぞ」
「あぁん⁉︎んだよお前まで、ちぃいとばかし装備が良くなったからって急に態度がデカくなりやがって」
ザックはそう言って俺に向かって、銀貨を投げつけてきた。
「おっと手が滑ったぜ」
まぁ腐ってもAランク冒険者、そこそこのスピードと威力だが、俺達からしたら止まってるのと変わらない。
当然のように銀貨を受け止める。
「悪いけどお小遣いは要らないよ。なんなら、お前より金持ってるしな」
そのまま銀貨を投げ返す。
銀貨はザックの顔を擦り、そのままギルドの壁にめり込んだ。
「……やべっ。やりすぎた」
後でリンダールさんに怒られそう…
「ちょっと良いかしら、あなたに話しかけてるのは私なのよ?」
「…あぁん?あぁ。お前、あの時俺が突き飛ばしたガキか」
自分との力量差を感じたのか、少し威圧感がなくなってきたザック。
「何をやっているんですか?」
ギルドの奥からリンダールさんが来た。
「ザック、またあなたですか」
「ちげぇ!!こいつらが俺に絡んできたんだよ!!」
「あら?私はあなたが受付嬢に迷惑をかけてるから注意しに来ただけですけど?」
「あぁ⁉︎いつ俺が迷惑かけてたよ!!」
「ギルドマスター?ロドニーとの約束覚えてますよね?」
カリーの不気味な笑顔がリンダールさんへ向く。
「え、えぇ」
「では、私はこのザックと話があるのでギルドマスターは邪魔しないでくれます?」
「…分かりました。ただ、ここでは辞めてくれませんか?」
「分かりました」
そう言ってカリーは俺とバッツ、ザックの4人をダンジョンへ転移させた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます