第38話 いざ王都へ
ハージノ町から王都まで、馬車で2ヶ月はかかるくらい遠いらしい。何事もなく行ければ1ヶ月ちょい。
相談の結果、グランデの街まで転移して、そこからは浮遊魔法で行こうとなった。
馬車でゆっくりってのも考えたが、流石に2ヶ月も馬車は辛いよな…
グランデの街で、みんなにパーティーを組んだこと。王都へ向かうことを伝えた。
アリアナからは、次はいつ会えるの?と聞かれた。転移があるから定期的に戻ってくるよと伝え、なにかあればローラかバロックに言えば俺に連絡が取れることも教えた。
今日は?と袖を引っ張られたので、誘惑に負けてお泊まりした。もちろんアマンダも一緒に。
アリアナとアマンダと過ごすと、王都なんて行かなくて良い気持ちになるが、そこをなんとか頑張って布団から出て王都へ向かう。いつでも戻ってこられるって分かってるからな。転移って素晴らしい。
「なぁロドニー、俺にも転移を教えてくれないか?そろそろ魔力量も増えたしイケると思うんだよな」
「いいよ。ただ、転移先を間違えると死ぬから気をつけてね」
「死ぬって?」
「たとえば岩の中に転移したらどうなると思う?」
「…あぁ…」
「ついでにカリーも一緒に練習しようか」
「私は転移出来るよ?」
「えっ⁉︎そうだったの?いつの間に?」
「自分で頑張って考えたよ」
三人で何が出来るかをちゃんと話し合わないとダメだな…
空の旅は天気が悪かったら休み。土魔法で作る簡易ホテルでの自由時間。俺はバッツの転移魔法の練習に付き合う。
バッツが練習してるのは長距離じゃなくて、短距離転移で敵の後ろに回り込んでとか、緊急回避の時の手段としての転移。
俺も初めはダンジョンへこっそり入り込むために転移魔法頑張ったけど、今は気軽に女の子に会いにいけるようにって不純な動機でしか使ってないな…
晴れた日は空の旅で王都へ。
天気に左右されたが、3週間ほどで到着。雨の日が多く思ったより時間がかかったが楽しく移動できた。
「ここがキングトン王国の王都か」
「すげ〜!!入り口だけでも人がいっぱいだぞ」
「ちょっとお兄ちゃん、恥ずかしいからあまり騒がないで!!」
「分かってるよ」
王都に入るために、入り口の長蛇の列に並ぶ。
「なぁこれってあと何時間くらいかかると思う?」
「荷物検査とかもしてるし、3時間くらいじゃないか?」
「王都って入るだけでも大変なんだな…」
なんだかんだで4時間待った。前の人の荷物が倒れてしまって拾ったのはいいが、荷物が足りないとか言いだして門番と揉めた。
俺たちは黙って見守ることしか出来ず、無駄に疲れた…
「待たせてすまない。身分を証明できるものはあるか?」
3人とも冒険者ギルドカードを見せる。
「SにAランク⁈」
門番達がざわつく。
「か、確認なんだが、拾ったとかじゃないよな?」
「本物ですよ。冒険者ギルドに確認とってもらっても大丈夫です」
「そうか。すまないが、確認が取れるまで少し待ってて欲しい」
ギルドカードを持って行かれたので念のため俺の魔力を門番に飛ばし、マーキングしておく。親切そうな人だったけど、念のためだ。
しばらくすると王都のギルドマスター、リンダールさんと一緒に門番が帰ってきた。
「やぁやぁロドニー君、よく来てくれました」
「リンダールさん、お久しぶりです」
「バッツ君もカリーさんもAランクってことはパーティー組んだんですね」
「はい。竜の息吹ってパーティー名で活動してます」
「竜の息吹か。良い名前だ。あと、カードを返しておきますね」
冒険者カードを返してもらい、リンダールさんと共に王都へ入る。二人にリンダールさんを知らないので紹介すると二人ともリンダールさんの魔力を覚えていたみたいで、あの時の目立ってた魔力はこの人だったのかと納得した。
「ようこそ王都へ」
「おぉーー!!すげーー!!入り口もそうだったけど、人がいっぱいいるぞ!!」
「ちょっとお兄ちゃん!!」
バッツのテンションが上がるのも分かる。
王都の大きさと言うより、人が多く、お店も多い。正直俺も二人が居なかったらバッツと同じリアクションしてたと思う。
「わざわざリンダールさんがお出迎えなんてなんか申し訳ないですね」
「ちょうど暇だったんですよ」
「ちょっとマスター!!急にどこか行ったと思ったらこんなとこで何してるんですか?早くギルドへ戻ってきて下さい!!」
ギルドの受付穣だろうか。リンダールさんに向かってかなり怒ってる口調で叫んでる。
「あはは。暇だと思ってたのは私だけだったみたいですね。ロドニー君、また後でギルドに顔を出して下さい。この通りを真っ直ぐ行ったとこにありますから」
忙しいのにわざわざ出迎えに来てくれたのか。リンダールさん良い人だな。ギルドの人からしたら良い迷惑かもだけど…
「よし、まずは宿を探して、そこから冒険者ギルドへ行こうか。でもどの宿屋がいいかな?」
「ワーグ商会って王都にもお店あったよね?そこの人に聞いたらいいんじゃない?」
「カリーの意見に賛成〜」
「ならまずはワーグ商会を探そうか」
そこら辺を歩いてる人にワーグ商会の場所を聞きながら向かうと、どこかの貴族の屋敷かってくらい立派なお店へ辿り着く。
「で、デカいな…」
「ルドルフさん、この商会のトップだったんだよね?私気軽に話してたけど、失礼なこと言ってないかな…」
自分よりビビってる人を見ると冷静になるって本当だったんだな。二人のおかげで冷静な俺は堂々とワーグ商会王都店へ入る。
「いらっしゃいませ。本日はどよのような商品をお探しでしょうか?」
「どうも初めまして。冒険者のロドニーと言います。グランデの街でルドルフさんにお世話になってたので、王都のお店も見に来てみました」
「!!ロドニー様でしたか!!少々お待ちください!!」
入り口で出迎えてくれた人が急ぎながらもスマートに奥へ消えていく。
しばらく待っているとルドルフさんにどこか似てるおじさん?がやってきた。
「ロドニー様、初めまして。私、この商会の会長をしております、ポールと申します」
「初めまして、ロドニーです」
「さっ、どうぞ奥へ」
ポールさんに言われるがまま奥へと向かう。
「なぁロドニー、ルドルフさんにどんな商品を提案したらこんな待遇になるんだよ?」
「色々としか言えないな…」
「おや?そちらの方々はロドニー様のお仲間なのにご存知ないので?」
「ずっと修行してたから、よく分かってないんです」
「そうでしたか。今のワーグ商会があるのはロドニー様なくしては有り得ないんです。素晴らしいのがなんと言ってもマッサージチェア。お風呂の温度調節や保温機能など多くの貴族が大金を使ってでも手に入れたい商品を発明して頂いております」
「貴族様相手の商品ですか、だったら俺達が知らないのも無理はないですね」
「えぇ、ロドニー様のおかげでワーグ商会はキングトン王国1の商会になることができたんです」
そんな話をしながら奥の部屋へ。部屋に入る時にそっと俺の耳元で、「もちろんクジラ君が一番売れておりますよ」と誰にも聞こえないように言ってきた。
バッツとカリーの前では話してほしくない話題を分かってるポールさん出来る人だ。
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