第37話 パーティー結成

 時は流れ、カリーの冒険者登録の前日。


「いよいよ明日、カリーが冒険者登録だ。今更かもしれないんだけど、二人にに確認したいことがある」


 俺はバッツとカリー二人に話しかける。


「どうしたんだよ改まって」


 バッツもカリーも俺の出す雰囲気に少し緊張が走る。


「明日、カリーが冒険者登録をしたら、俺はまた旅に出ようと思う。それで、二人はどうしたい?」

「どうしたいってのは?」


 バッツが聞き返してくる。


「バッツ、お前が強くしてくれと頼んできたから一緒に行動するようになったよな?」

「そうだな。感謝してる」

「正直今の二人はSランク冒険者並みの強さを手に入れてると思う。だから、今後も俺と一緒に行動するかどうか決めて欲しい」


 そう言うことかと理解する二人。


「ロドニーはどうしたいの?私たちのことどう思ってる?」


 少し不安そうにカリーが聞いてくる。


「俺か…二人がいいなら一緒に世界を見て回りたい」


 本当は二人に決めてもらうつもりだったが、俺の意見を聞かれては仕方ない。ソロで活動も考えたが、今後何があるか分からないし、皆んなでいると楽しいしな。


「なんだよ。だったら改まって聞くことじゃないだろ。俺はロドニーに付いていく為に必死に頑張ったんだよ。だから俺もロドニー、いや、お前に付いていきたい」


「バッツ…ふっ、お前…か、いいな」


「そうだよ、私も必死に頑張ったのはロドニーと一緒に居たいから。あなたの仲間になりたかったから」


「カリー。ありがとう。よし、じゃぁ明日からもよろしくな!!」

「おぉ」「うん」


「一緒に行動するんなら決めなきゃいけない大切なことがある」

「「決めること?」」

「パーティー名だ!!」

「「!!」」


 たしかに!!って顔の二人。


「明日、カリーの冒険者登録と同時にパーティー登録もできたらと思ってる。明日の朝にでもパーティー名決め会議でどうだ?」

「そうだな。明日までに考えておくよ」

「私、良い名前思いつかないかも…」


 俺もあまり思いつかないんだよな…

こう言う時ってThe 異世界って名前がいいのかな?と言っても簡単に思いつかない。草原のなんとか?緋色の?……


 二人に期待して今日は寝よう。


 翌日


「「「おはよう〜」」」


「俺、良い名前思いついたぜ!!」


 バッツが興奮気味に言ってきた。


「その名も【ドラゴンバスターズ】。どうだ!!良い名前だろ?」

「お兄ちゃん…センスないよ」

「そんなことない!!じゃぁカリーはなんか良い名前あるのか?」

「私はあんまり良い名前思いつかなかったんだけど…」

「1個も思いつかないことなんてないだろ?」


 一呼吸おいて顔を少し赤くして言う。


「…スライムの声」

「?スライムって、なんか弱そうじゃん」

「ぷにぷにが可愛いじゃない!!」


 もしかして、俺らってみんなネーミングセンスが無いのか…


「あっはっは。スライムの声、可愛いじゃないか」

「父さん」「ロイルさん⁉︎」

「ドラゴンバスターズに、スライムの声。ロドは何か名前はあるのか?」

「正直、これと言ってない…全く思いつかないんだよね…」


 父さんはアゴに手をあてる。


「ふ〜ん。じゃぁ、二人のを少しずつもらって、【竜の息吹】なんてどうだ?」

「竜の息吹?」

「そう。ドラゴンは竜とも言うだろ?声を少し変えて息吹。良いんじゃないか?」


「おおーー!!さすがロイルさん!!かっこいい名前だ!!」


 バッツが目をキラキラさせる。


「竜の息吹か、いいんじゃないかな?カリーはどう思う?」

「うん!!良いと思う」


 父さんがいてくれて助かった。


「あっはっは。じゃぁパーティー名も決まったみたいだから、皆んな朝ごはん食べていきなさい」

「「「「は〜い」」」


 ご飯を食べ終わってギルドへ行くために家を出る。


「ロド、たまには顔みせてね。それとバッツ、あなたはまだ強くなるわ。自主練は続けること。いいわね?」

「マギーさん、もちろんです!!」


 格闘術に切り替えても、結局母さんには勝てなかったな。


「ロド、世界は広い。楽しんでこい。それとカリーちゃん、ロドをよろしくね」

「はい。まかせて下さい」


 カリーが俺の面倒を見るの?嘘だろ…


「ロドにぃ、バッツにぃ、カリーねぇ。マリンも将来は冒険者になる!!」

「マリン、父さんと母さんのことよろしくな」

「うん!!」


 転移ですぐに戻ってこれるし、かるく挨拶を終わらせて冒険者ギルドへ向かう。


「サニーさん、おはようございます」

「ロドニー、みんなお揃いで。おはよう」

「今日はカリーの冒険者登録と三人のパーティー登録に来ました」


「おぉカリーちゃんおめでとう!!」

「ついにか。おめでとう!!」

「ロドニー、カリーちゃんを泣かせたら許さないぞ!!」


 1年くらいハージノ町に住んでたからな。俺の時と同じくみんなが歓迎してくれた。


「では、カリーちゃん、ここに記入してね」

「はいっ。」

「それとパーティー登録なんだけど、リーダーは誰にする?」


 リーダー?決めて無かったな…


「「ロドニーで」」


 バッツもカリーも俺を指名。


「俺かよ。俺めんどくさいのとか嫌なんだけど?」

「何を今更、冗談きついぜ」

「私達はロドニーに付いていくの」

「あはは。はい…リーダーやります…」


 まぁ分かってたけどさ。


「ではロドニー、この紙に記入お願い」


 必要事項を記入したら三人ともギルドマスターの部屋へ通される。


「なぁ、俺の時は受付でカードもらって終わったんだけど、なんでギルドマスターの部屋へ行くんだ?」

「まぁ行けば分かる」


 パーティー登録したし、おそらくバッツとカリーのAランクの話しだな。


「おぉついにこの日が来たか!!」

「ロドリゲスさん、おはようございます。今日はいつにも増して元気ですね」

「あぁそうだな。ロドニー、お前も俺の訓練によく付き合ってくれた。最後の方は俺が訓練させられてる感じになっちまったがな」


 なんか寂しそうなロドリゲスさん。


「また殴り合いしましょう」

「ああ!!次は俺が勝つからな!!」

「で、ロドリゲスさん、いやギルドマスター、今日、正式にこの三人でパーティーを組みました」

「あぁそうだった、そうだった」


 机の中から冒険者カードを2枚取り出す。


「バッツ、カリー、前に来てくれ」


 何が起きてるのか分からないながらも指示に従う二人。


「では、本日をもって、条件付きではあるが、バッツ、カリー、二人をAランク冒険者とする!!」

「「へ?」」


 ………


「へ?って、ロドニー、お前何も言ってないのか?」

「あはは。さっきまで忘れてました」

「忘れてたって…お前そんなんで大丈夫かよ?」

「あはは…」


 バッツとカリーに一通り説明。


「と言うことで、俺とパーティー組む場合のみ二人ともAランクになるんだよ」


「そんな大切なことなんで忘れてたんだよ?」

「Aランクになりたいから俺とパーティー組むって言われるのは違うと思って…そんなの関係なくパーティー組むかどうかを考えて欲しいって思ってたら忘れてたよ。ごめん」


「たしかにそうだな」

「そうだね」


 二人とも納得してくれて良かった。


「ところでお前らこれからどうする気だ?」

「世界を見て回ります。でも目的地は決まってないんですよね。どこかオススメの場所ってあります?」

「決めてないのか。なら王都にでも行ったらどうだ?リンダールさんに顔見せついでによ」


 俺は二人の顔を見る。


「俺はどこでもいいぜ」

「私も」

「なら王都行ってみるか!!」

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