第34話 開店準備

 アマンダさんを探すのにサーチを使おうと思ったが、ローラの奴隷紋に俺の魔力があるのでそっちを追いかける。


 到着した時にはすでにカリーが呪いを解いてる最中で、だんだんと顔色が良くなるアマンダさん。隣にはアリアナがいるが、とりあえず無視。


「ふぅ。これで呪いは解けたはずです。ただ、体力の回復のためにしばらくはゆっくり休んで下さいね」

「カリーさん、ありがとうございます。ほんとにありがとう…」


カリーが俺に気付き話しかけてくる。


「ロドニー、結局来たんだ?」

「あぁ。アマンダさんに少し話があってな」

「二人は知り合い?」

「まぁな。妹がいるとは知らなかったけど…アマンダさん、また明日にでも出直してくるよ。今日はゆっくり休んでね」


 俺とアマンダさんが知り合いと言うことで、アリアナは気付いたようで、なぜか冷たい目を俺に向けてくる。今更そんな目をされようが関係ないがな。


「カリー、あとは任せた。とりあえず俺はちょっと出かけてくる」


 アリアナはカリーと何やら話をしてるがまぁいい。俺はそのまま夜の蝶へと戻り、今日の出会いを楽しむだけだ。


「店長、戻ってきました〜。アマンダさんは元気になりましたよ」

「ロドニー様、おかえりなさいませ。元気になって良かった。みんな心配してたんですよ」

「ちなみに、アマンダさん呪われてたんですけど、心当たりあります?」

「呪いですか?そう言えば、最近アマンダさんのことを気に入ってた貴族様がいて、少し前に揉めたような…」

「貴族ですか…まぁ何かあれば相談してください」

「ありがとうございます」


 ん〜貴族絡みか…また明日、アマンダさんに話を聞いてみよう。


「店長、おすすめの子をお願いします」

「かしこまりました」


 今日の相手はウサギ獣人の子だった。

獣人という種族特有なのか分からないが、優しく振動魔法で色んなとこ触ってあげると、だんだんと女からメスに代わっていくんだよな…いいよね。

 せっかくだから全種族コンプ目指してみようかな…


 余韻に浸りながら家へと帰る。少し遅い時間だったので、リリーはすでに寝ていて、バッツとカリーはそれぞれ自主練。どこまでも真面目だな。

 俺はローラとバロックを呼び、今後についての基本方針を話す。


 ここを富裕層をターゲットにしたバーにすること。そこで問題があった時に護衛として二人を買ったこと。


「主人、一ついいか?」

「どうしたバロック」

「貴族相手となると俺たちじゃぁ何も出来ない。不敬罪とか言われたらどうしようも無いしな」

「そこに関しては心配ない」


 そう言って俺はSランクの冒険者カードを見せる。


「俺、Sランク冒険者で、国王並みの権力があるから、よほど馬鹿なやつじゃないかぎり俺の店で問題は起こさないよ」

「Sランク!!」

「二人に頼みたいのは、暴れてるやつが出たら外に出して欲しい。それだけの簡単な仕事で給料もちゃんと出すし、休みもあげるから」


 休みと聞いてローラが反応する。


「休みってことは何しようが勝手ってことだよな?」

「そうだな。ただ、他の人に迷惑はかけるなよ。お前達がなにかしでかしたら俺の責任になる」

「そんなことは分かってるよ」


「バロック、リリーにはお店じゃなくて家の掃除とかをお願いしたい。もちろんリリーにも給料は払う」

「リリーにも⁉︎しっかり働かせると約束する」

「よし、とりあえずお店をオープンさせるまではやることないから鈍った体を戻しておいてくれ。あと、このお金で必要な装備を整えておいて」


 そう言って金貨5枚を渡す。


「ローラ、装備に使うんだぞ。ギャンブルに使ったらお前は給料無しにするからな」

「わ、分かってるって」


 翌日、カリーとバッツをハージノ町に転移で送り、俺はアマンダさんに会いに行く。


「アマンダさんこんにちは」

「ロドニー様。昨日はありがとうございました」

「治したのはカリーです。俺はなにもしてないですよ」

「いえ、それでも私は…」

「まぁ元気になって良かったです。ちなみに、呪われたことについて心当たりは?」

「えぇ。少し前にある貴族様ともめまして…たぶんその方かと」

「店長も言ってましたね。そこでお話しなんですけど、アマンダさん、僕のお店で働きませんか?」

「ロドニー様のお店?」

「そうなんです。バーを開くんですけど、そこで働いて欲しいなって」


 しばらく考え込むアマンダさん。


「なんで私なんでしょうか?」

「正直アマンダさんじゃなくてもいいんですけど、娼館で働いてた経験があるので、男の扱いには慣れてるかと思いましてね。それと、いつまでも娼館で働ける訳ではないじゃないですか?」

「えぇ。まぁそうですけど…」

「俺、こう見えてもSランク冒険者なんですよ。だからアマンダさんに呪いをかけた貴族からも守ってあげれますよ?」

「ロドニー様がSランク?」

「見えないでしょ。でも強いんですよ俺。まぁ考えてみて下さい。店長はアマンダさんの意見を尊重するって言ってくれてます」

「少し考えさせて下さい」

「えぇ。これがお店の住所です。決まったらまた教えてください」

「分かりました」


 アマンダさんが働いてくれるといいな〜と思いながら俺は久しぶりにグランデの冒険者ギルドへ向かう。

 アリアナにも話をしておかないとなと思ったからだ。冒険者ギルドへ入るとアリアナは受付をしており、そこへ向かう。


「…なによ」

「アマンダさんに俺のお店で働かないかって誘ったから。どうするかは知らないけど、一応伝えとく。じゃぁ」

「ちょっと…昨日はありがとう」

「金貨10枚な」

「は?」

「無理ならいい。言ってみただけだ。じゃぁ」

「ちょっとどう言うことよ!!」


 無視してギルドを後にする。

アマンダさんの返事待ちまでお店は開けないしな…待ってる間にローラとバロックのレベル上げでもしようかな?


 とりあえず家に戻り、ワーグ商会で買っておいたお酒を並べたり、テーブルとか椅子とか出してレイアウトを考えたりした。


 ローラとバロックが装備を整えて帰ってきたので、色んなお酒をハイボールにして飲み比べをすることに。リリーはまだお酒が飲めない年齢だったのでフルーツジュースを炭酸水で割ったものを飲ませてみた。


 この世界には炭酸水が無かったからみんな衝撃を受けてたけど、どのお酒も飲みやすくなって美味しいと評判良だった。

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